症例は49歳女性. 職場にて突然心肺停止し, 救急車内で心室細動が確認されAEDにて除細動され心拍再開した. 当院に搬送され, 冠動脈造影検査を行うが有意狭窄はなく, 左室造影にて心尖部領域の壁運動低下があり, たこつぼ心筋症様の変化であった. 入院後, 壁運動異常の改善に乏しく, 精査を行ったところ心臓造影MRIで心尖部に遅延造影を認めた. ガリウムシンチグラフィーは陰性であり, 心筋生検を行うも異常所見は認めなかったが, FDG-PETを施行すると左室心尖部と胸部CTで斑状影のあった右肺とに異常集積を認めた. 臨床学的に心サルコイドーシスと診断し, ICD植込み術を行い, ステロイド治療を開始した. 治療過程において右膝蓋部に紅斑を認めたため皮膚生検を施行したところ, 類上皮肉芽種を認め確定診断に至った. たこつぼ心筋症様の壁運動異常を呈し, 心室細動が初発であった心サルコイドーシスの1例を経験したため報告する.