2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_136
症例 : 70歳, 女性
現病歴 : 多発性骨髄腫にて血液内科通院中.
肺炎にて血液内科で院加療中, 胸背部の違和感を自覚. 心電図にて急性冠症候群を疑われ当科介入となった.
経過 : 急性期心臓超音波所見は心基部過収縮かつ心尖部無収縮のたこつぼ様変化であった. 同日緊急冠動脈造影を施行し, 冠動脈に有意狭窄は認めず, 左室造影では超音波と同様の所見を認めたため, たこつぼ心筋症と診断した. 検査後CCUへ帰室とし経過観察とした. 帰室約7時間後に突然心停止となり, 直ちにCPRを開始するも心拍再開せず. CPR開始50分後, 死亡確認となった.
考察 : 原因究明の為, 病理解剖施行. 結果, 心臓周囲に血性心嚢液の貯留を認めた. さらに心尖部心筋内および表面に出血を認め, 同部位の心筋内出血と心筋変性を認めた. 同所見よりたこつぼ心筋症により心筋穿孔をきたし心停止に至ったものと考えた.
結語 : 症状出現から心破裂まで極めて早い経過を辿ったたこつぼ心筋症の1例を経験した.