2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_146-S1_150
症例は36歳, 女性. 品胎にて平成XX年12月24日に帝王切開術施行. 以降, 子宮内感染に対しドリペネム, バンコマイシンが投与されていた. 感染が遷延し, 子宮筋層創部離開のため, 翌年1月14日再開腹術を行った. 術後経過良好であったが, 1月18日に意識障害, 痙攣発作が出現し, 間歇的にに多形性心室頻拍, 心室細動を繰り返した. QTc間隔が515msと延長していたことから, QT延長症候群による心室性不整脈と考えた. 低K血症, 低Mg血症の補正, リドカイン持続投与を行ったところ状態は安定した. 安定期にエピネフリン負荷試験を施行すると, Δcorrected Q-T endは128msであることから, 先天性QT延長症候群 (LQTS) 1が示唆された. ナドロール内服を開始し退院となった. 遺伝子検査にてKCN1の変異を認め, 父親にも同様の変異を認めた. 周産期に認められるLQTSはLQTS2が多いとされているが, 本症例は遺伝子検査によりLQTS1と診断され, 稀な1例と考え報告する.