2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_15-S1_22
症例は31歳女性. 子宮頚部上皮内病変に対する円錐切除術のため, 脊髄くも膜下麻酔を施行した. その数分後に嘔気を訴え, 洞徐脈から心静止となり, 意識消失した. 心肺蘇生を行い, 意識はすぐに回復したが, 心電図モニター上, 心室頻拍となり再び意識消失した. 再度の心肺蘇生にも成功し, 直ちに当科紹介となった. 心電図にてⅠaVl誘導のST上昇, ⅡⅢaVf誘導, V1-3誘導のST低下を認めた. 虚血性心疾患を疑い緊急冠動脈造影を施行したが, 有意狭窄を認めなかった. 第9病日にHead up tilt testを施行した. イソプロテレノール3 μg/min負荷にて収縮期血圧・心拍数はそれぞれ130mmHg・78回/分から109mmHg・65回/分へ低下し, 同時に嘔気および冷汗を伴い, 検査陽性として中止とした. 第13病日にTl・MIBG2核種同時の心筋シンチグラフィーを行い, 左冠動脈前下行枝対角枝または回旋枝鈍角枝の領域の除神経を示唆する所見を認め, 冠攣縮性狭心症に合致する所見であった. 以上より, 冠攣縮性狭心症を伴う神経調節性失神による心停止と考えた.
今回, 脊髄くも膜下麻酔施行直後に神経調節性失神よる心停止に至り, さらには冠攣縮性狭心症も併発した貴重な症例を経験したので報告する.