心臓
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第28回 心臓性急死研究会
心室頻拍で搬送されアセチルコリン負荷陽性であった心サルコイドーシスの1例
小林 紘生五関 善成廣瀬 公彦齋藤 友紀雄矢崎 義直里見 和弘山科 章
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2016 年 48 巻 SUPPL.1 号 p. S1_65-S1_70

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抄録

 症例は50歳代男性. 他院で眼・肺・脊椎サルコイドーシスの加療中であった. 今回, 駅で卒倒し, モニターにて心室頻拍を認め, AED1回で心拍再開後に当院へ搬送された. 入院後, 持続性心室頻拍は認めなかったが, 労作に伴って非持続性心室頻拍や心室期外収縮を認め, 経胸壁心臓超音波検査にて左室側壁の壁運動低下も認めたため, 虚血性心疾患の鑑別のため心筋血流シンチを行った. 結果, 高位側壁枝領域に虚血が疑われ, 冠動脈造影検査を施行した. 冠動脈に有意狭窄を認めなかったが, 同時に施行したアセチルコリン負荷試験は陽性であった. 搬送時には胸痛はなく, 心筋逸脱酵素の上昇もなく経時的な心電図変化も認めず, 冠攣縮性狭心症は今回の心室頻拍の原因ではないと判断した. 心サルコイドーシスの精査では. 造影心臓MRIにて右室側壁・左室側壁・心室中隔に遅延造影効果を認め, ガリウム67-SPECT-CTでは上記部位に淡い集積を認めた. 心筋生検でも非乾酪性肉芽種を認め心サルコイドーシスとして矛盾しない所見であった.

 今回の心室頻拍の原因は心サルコイドーシスであったと判断しICDの植込みを行った. ステロイドの導入についてはかかりつけ医にて開始することとした. 心サルコイドーシスと冠攣縮性狭心症の合併は稀であるが, 心室性不整脈発生の原因として念頭に置く必要があり, 若干の考察を交え報告する.

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