心臓
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[症例]
心房細動アブレーションの亜急性期にTorsades de pointesを合併した頻拍誘発性心筋症の1
新富 將央松坂 英徳佐田 政司石北 陽仁手束 美香秋山 雄介小河 清寛盛重 邦雄久保 俊彦
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2018 年 50 巻 1 号 p. 83-87

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抄録

 症例は64歳男性.左室駆出率32%の低左心機能を伴う持続性頻脈性心房細動に対し両側肺静脈拡大隔離術(CPVI)を施行した.CPVI後の早期再発の予防としてベプリジル100 mgを継続し,洞調律を維持した.CPVI後16日目に全身倦怠感と動悸を主訴に再入院となった.洞調律でQTc 560 msと著明なQT延長,心エコーで低左心機能の遷延を認めた.R on T型の心室性期外収縮からTorsades de pointesが出現したため,イソプロテレノール・リドカイン・硫酸Mgの静注および低K血症の補正を行った.ベプリジルはQT延長の被疑薬として中止したが,入院時に提出した血中濃度は基準値以下であった.深い陰性T波を伴うQT延長は改善傾向と再延長の経時的二峰性を示し,約3週間後に正常化した.心機能も左室駆出率59%まで改善した経過から頻拍誘発性心筋症であったと判断した.ベプリジルによるQT延長は血中濃度と相関するとされており,同剤が主因ではないと推察した.上記の特徴的な経時的心電図変化から,何らかの誘因によるストレス心筋症様の病態の合併も関与したQT延長であった可能性が疑われた.

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