心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
[症例]
若年性脳梗塞を機に診断された左室緻密化障害の1例
平井 忠幸村井 久純徳久 英樹高島 伸一郎加藤 武史薄井 荘一郎古荘 浩司高村 雅之金子 周一
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 50 巻 10 号 p. 1114-1119

詳細
抄録

 今日,若年における脳梗塞の原因としては心原性梗塞が多くを占める.構音障害と右半身の筋力低下を主訴に入院となり,左室緻密化障害による心原性梗塞と診断した1例を経験したので報告する.27歳,男性.心エコー図検査で左室機能障害と左室肥大の指摘を受け,原因不明の心筋症として加療されていた.その後近医に通院していたが,2年後,慢性心不全の急性増悪をきたし1カ月半近医に入院した.退院10日後に顔面を含む右不全片麻痺および運動失調を認め,頭部MRI所見から多発脳幹梗塞と診断し,当院へ転院となった.経胸壁心エコー図および心臓MRIでは,左室心尖部を中心に著明な肉柱形成と深い間隙を認め,左室緻密化障害と診断した.抗凝固薬を処方し,以後脳梗塞の再発を認めていない.若年性脳梗塞の一因として,左室緻密化障害は稀であり報告する.

著者関連情報
© 2018 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top