心臓
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[症例]
労作時息切れを主訴とし,冠攣縮による心収縮能低下を認めた17歳男性例
山口 斐高野 寿一中村 峻笠野 健介吉原 弘高服部 英二郎徳永 毅
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2019 年 51 巻 4 号 p. 430-437

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抄録

 既往歴と家族歴のない17歳男性.高校で部活中の労作時息切れを主訴に,当院循環器内科を受診した.心電図ではⅢ,aVF誘導でST低下を認め,心エコーではLVEF(left ventricular ejection fraction)50%と左室収縮能の軽度低下を認めた.胸痛症状はなく,ホルター心電図で有意なST変化および不整脈は指摘されなかった.運動負荷試験(トレッドミル)でも運動耐容能は低下なく,負荷による心電図変化はなかった.心臓MRIではLGE(Late gadolinium enhancement;遅延造影)は認めなかった.原因検索目的にカテーテル検査を施行.CI 2.83 L/min/m2であった.冠動脈に器質的有意狭窄は認めないが全体的に狭小であった.アセチルコリン負荷試験を施行したところ,左前下行枝,左回旋枝に99%狭窄,右冠動脈は75%狭窄を認め,臨床症状と合致する強い息切れ症状と心電図変化を伴った.冠攣縮性狭心症の診断に至り,内服加療を開始した.治療開始し労作時息切れ,左室収縮能は改善を認めた.冠攣縮性狭心症の若年発症例は稀と考え報告する.

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© 2019 公益財団法人 日本心臓財団
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