2019 年 51 巻 6 号 p. 626-630
症例は60歳代,男性.意識消失を伴う高度房室ブロックの診断で恒久ペースメーカ植込みを行った.手術中,良好な閾値がみつからず,心房リードの留置に難渋したため,心房リードを右房側壁に留置した.手術翌日に呼吸困難,酸素飽和度の低下を生じ,胸部CT検査で右肺の気胸,心膜気腫,縦隔気腫を認めたため,胸腔穿刺で脱気を行った.解剖学的に心房リードが右房壁を穿孔した可能性が高いと判断し,外科的治療を考慮したが,心房・心室リードともに感度・閾値・抵抗値に変化を認めず,バイタルは安定していたため,経過観察とした.その後は経過良好であり,脱気後1週間で胸腔ドレーンを抜去し,胸部CT検査で気胸,心膜気腫,縦隔気腫が消失していることを確認して退院となった.解剖学的に右房側壁は胸膜と近接しており,リードのスクリューが心膜,胸膜を貫通し,気胸,心膜気腫,縦隔気腫を生じたと考えられる.心膜気腫,縦隔気腫は恒久ペースメーカ植込みの合併症において比較的稀である.治療法の選択に苦慮したが,保存的加療で治療し得た症例を経験したので報告する.