2021 年 53 巻 2 号 p. 156-163
背景:心房細動(AF)の脳梗塞予防には,抗凝固薬が極めて有効であるが,服用を継続できていないケースも多く,これには患者の疾患や治療に対する無理解が背景にある可能性がある.
方法:TASK-AFは,AFによる脳卒中を予防するための,全国規模の疾患啓発活動である.TASK-AF伏見パイロットプログラムでは,AF患者の疾患および治療に対する理解度を評価し,その理解度と患者背景や臨床転帰との関係や,教育的介入による効果を検討した.抗凝固薬を投与されている外来AF患者238例を対象とし,初回の理解度調査のあと,視覚的教材を用いて教育的介入を行い,1年後と2年後にも同様の調査を行った.
結果:238例の平均年齢は73.8歳で,男性が66%,平均CHADS2スコアが2.0であった.4つの理解度項目の正答率は,Q1(疾患名)40%,Q2(抗凝固薬名)57%,Q3(抗凝固薬のメリット)47%,Q4(抗凝固薬の副作用)28%であった.各項目を1点,4点満点とすると,平均は1.7点で,32%の患者が0点であった.教育的介入により,平均点は1年後に2.0点,2年後に2.1点に上昇したが,24%の患者では2年後に点数がむしろ悪化していた.患者の理解度と,フォロー期間中の脳卒中/全身性塞栓症の発症との間に関連は認められなかった.
結論:AF患者の疾患や治療に関する理解度は乏しく,教育的介入により理解度はわずかに向上したが,その程度は軽度にとどまっており,理解度と臨床転帰には明らかな関連はみられなかった.