2021 年 53 巻 2 号 p. 194-199
症例は48歳,女性.38℃台の発熱が1週間持続するため精査加療目的に入院した.連日施行した血液培養より黄色ブドウ球菌が検出され,心臓超音波検査で大動脈弁および三尖弁に疣腫を認めたことから感染性心内膜炎と診断した.全身を精査したところ多発脳膿瘍,敗血症性肺塞栓,肝膿瘍,腎膿瘍を認めた.全身状態が不良であったため内科的に治療したが,大動脈弁破壊に伴う高度大動脈弁閉鎖不全症によるうっ血性心不全を発症したため,第44病日に大動脈弁置換術および三尖弁形成術を行った.術後経過は良好で6週間の抗生剤治療後,全身の膿瘍も縮小した.術後1年が経過したが感染の再燃なく経過良好である.治療に難渋した,基礎疾患のない黄色ブドウ球菌を起炎菌とする両心系感染性心内膜炎の1例を経験したので報告する.