心臓
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[症例]
左冠動脈前下行枝の閉塞による前壁心筋梗塞に単独右室梗塞を合併した極めて稀な単冠動脈症の1例
大森 崇弘岩畔 哲也浅江 仁則宮本 芳行宮本 正興奥本 泰士木村 桂三
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2021 年 53 巻 4 号 p. 395-400

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抄録

症例は70歳代男性.意識消失のため救急要請した.救急隊到着時無脈性心室頻拍で,電気的除細動後当院へ搬送された.心電図上Ⅰ・aVR・aVL・V1-V5誘導でSTが上昇,心エコー図検査で左室前壁が無収縮であり急性前壁心筋梗塞と診断した.ショック状態であり大動脈内バルーンパンピング(IABP)挿入後に緊急冠動脈造影検査を行ったところ,左前下行枝seg.6の完全閉塞を認め,経皮的冠動脈形成術(PCI)で再灌流後,閉塞部の先seg.7より起始する右冠動脈を認めた.CT画像も併せてLipton分類LⅡ-A型の単冠動脈症と診断した.PCI後に右側胸部誘導のST上昇と右室の内腔拡大と低収縮も認め右室梗塞の合併と診断したが,明らかな下壁梗塞の所見はなかった.第4病日にIABPを抜去,心臓リハビリテーション後に退院した.本症例は,左前下行枝seg.7より低形成の右冠動脈が起始する単冠動脈症で,seg.6の閉塞により前壁梗塞に右室梗塞を単独で合併した極めて稀な1例であった.

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