心臓
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[症例]
心内膜心筋生検により心臓限局性サルコイドーシスの診断に至った2例
大嶋 優大野 紘平大塚 紀幸伊藤 孝仁堀田 寛之加藤 伸郎吉田 大輔松本 倫明大岩 均藤瀬 幸保
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2021 年 53 巻 4 号 p. 401-407

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抄録

 症例1は完全房室ブロックを指摘された60歳代女性.心臓超音波検査で中隔の菲薄化を認め心サルコイドーシスが疑われたが,画像所見で心サルコイドーシスを疑う所見は心臓超音波検査のみであり,呼吸器系,眼,皮膚病変も認めず,臨床診断に至らなかった.右室心内膜心筋生検を施行し類上皮細胞肉芽腫が認められ心臓限局性サルコイドーシスの診断に至った.

 症例2は完全房室ブロックでペースメーカー留置後の60歳代男性.持続性心室頻拍が出現し,心臓超音波検査で経時的な心機能の低下,新規の心室瘤を認めたが,画像所見で心サルコイドーシスを疑う所見は心臓超音波検査のみであり,呼吸器系,眼,皮膚病変も認めず,臨床診断に至らなかった.症例1と同様に右室心内膜心筋生検施行にて,心臓限局性サルコイドーシスの診断に至った.

 心サルコイドーシスは早期発見,早期治療の観点から画像所見による診断が重要視されているが,臨床診断基準を満たさず診断に苦慮する症例も多い.心筋生検により診断に至り,心筋生検の重要性を再認識する2症例を経験したため,若干の文献的考察を交えて報告する.

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