心臓
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[症例]
拘束性心筋症様の血行動態を示した滲出性収縮性心膜炎の1例
三保 成正住居 晃太郎髙橋 信也須澤 仁富本 秀子岩崎 年高山本 佳征
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2022 年 54 巻 12 号 p. 1371-1376

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抄録

 高血圧症,発作性心房細動につき治療中の78歳男性.数年前から下腿浮腫があり,1カ月前から労作時呼吸困難を認めていた.頻拍性心房細動を伴う心不全として入院したが胸水と心嚢液が増加し呼吸状態が悪化した.胸腔および心嚢ドレナージにて症状軽快し退院した.第26病日,発熱と呼吸困難息切れにつき急性肺炎として再入院し,抗菌薬点滴ですぐに解熱し軽快したが,第33病日,再度熱発し呼吸状態が悪化した.CT上,肺炎の再増悪はなく,心嚢液の再貯留もなかったが,びまん性の心膜肥厚と腹水貯留を認めた.血液検査上,肝障害・腎障害が進行していた.第43病日,右心カテ―テル検査を施行したところ両心室圧はsquare-root波形(dip and plateau)を示した.臨床的には滲出性収縮性心膜炎と考えられたが,両室拡張期圧均一化や心室間相互依存性を示す所見はなく,いわゆる拘束性心筋症の血行動態であった.内科的には心不全の管理が困難であったが,第99病日,心膜剝皮術を施行したところ劇的に改善した.

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