心臓
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[症例]
右胸心に合併した重複上大静脈の解剖学的診断に経食道心エコーが有用であった症例
岩﨑 司柴田 夏実金山 純二入江 忠信荒巻 和彦
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2022 年 54 巻 12 号 p. 1377-1387

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抄録

 69歳女性が動悸と労作時の息切れを主訴に来院した.心電図は心房細動の頻脈,胸部X線では右胸心と肺うっ血の所見を認めていた.頻脈性心房細動による心不全の診断となり,外来フォローの上で投薬を開始した.1週間後の再診時には症状とうっ血の改善を認めていたが,心房細動は持続しており,待機的にカテーテルアブレーションを行う方針となった.血栓評価目的に行った術前の経食道心エコーでは,右胸心のため,角度を反転させて通常と同様の像を描出できるように記録した.右房に直接流入する左上大静脈とは別に,冠静脈洞を経由して右房に流入する右上大静脈遺残を認めていた.経食道心エコー中にマイクロバブルテストを行い,上大静脈の還流パターンの特定とシャント疾患の検索を行った.一般的に,造影CTで心血管系の構造を把握することはできるが,細い遺残血管やシャント血流の評価は難しいことがある.経食道心エコーにマイクロバブルテストを併用することは,上大静脈遺残の解剖学的診断の手段の一つとして有用であると考えられる.

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