2022 年 54 巻 2 号 p. 190-193
症例は69歳女性.持続性心房細動に対するカテーテルアブレーション施行前の経食道心臓超音波検査にて,左房内に27×20 mm大の可動性を伴う有茎性腫瘤が指摘された.同日施行された手術所見で,左房後壁から心房中隔にかけて付着する20×10 mm大の有茎性球状腫瘤を認め,肉眼的に左房粘液腫と診断した.これを切除し,併せて両側肺静脈隔離術,左心耳切除術を施行した.術後,病理組織学検査で左房内血栓と確定診断された.左房内腫瘤の診断においては血栓と粘液腫との鑑別が問題になることが少なくないが,画像検査での診断精度に限界があるため最終的に病理組織学的検査で確定診断される.手術適応は塞栓症のリスクを考慮して慎重に検討する必要がある.