心臓
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研究 小児期心疾患における左室の形態と機能
中野 博行上田 憲斉藤 彰博
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1978 年 10 巻 5 号 p. 489-497

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抄録

小児期の心疾患における左室容積分析は,かなり一般化され,臨床に用いられてきたが,左室の形態の定量化や,形態と機能についての検討は,ほとんど見られない.本稿では,19例の正常対照群のほか,8群の小児期心疾患患者144例の計163例の左室正面および側面像を用いて,左室の形態および空間的位置関係を定量化し,さらに.形態と機能の関係を検討した.一般に,左室の形態は,各疾患群の血行動態を反映して多彩となるが,容量負荷群では,左室は円形化し,圧負荷群では尖鋭化した.また,右室容量負荷群における左室の形態と位置関係は特微的であった.円形化した左室では,左室各軸の短縮率が低下し,他方,尖鋭化した左室の軸短縮率は正常であった.正面一方向から計測した左室容積測定法および短軸径から算定する心エコー図左室容積近似法は,ともに,左室の形態と位置関係がそれぞれの疾患群で異なるため,誤差が大きく,その評価には注意が必要である.

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