心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
臨床 高速度超音波心臓断層法による肥大型心筋症の検討
特に左室流出路狭窄の成因に関して
陣内 重三古賀 義則吉岡 春紀杉 健三戸嶋 裕徳
著者情報
ジャーナル フリー

1978 年 10 巻 5 号 p. 498-506

詳細
抄録
高速度超音波断層法を用い非対称性中隔肥厚を伴う肥大型心筋症17例(閉塞型8例,非閉塞型9例)の左室・僧帽弁動態を検討した.
1)閉塞型では心室中隔上部の著明な肥厚と左室流出路への突出が認められた.2)閉塞型ではSAMは腱索および僧帽弁で形成され,しかも弁の外側部がより大きく前方に偏位し弁に歪みを生じており,これが多彩な超音波所見や血行動態との不一致の原因と考えられた.3)弁の外側部の前方偏位には前外乳頭筋の牽引が,内側部の前方偏位には後内乳頭筋の牽引および左室の廻転運動が関与し,またこの両牽引力のずれが外側部前後尖間に生じ,これが僧帽弁閉鎖不全の原因と考えられた.4)乳頭筋レベルでは強い左室内腔の閉塞は認められなかった.5)以上の所見より肥大型心筋におけ左室流出路狭窄は流出路に突出した室中隔と収縮期に前方に牽引された僧帽弁により形成されるものと推測された.
著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top