心臓
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10 巻, 5 号
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  • 千葉 茂俊
    1978 年 10 巻 5 号 p. 465-474
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    イヌ生体内洞房結節動脈定圧血液灌流標本を使用して,コリン作動性薬物によって誘起される心房細動について考察した.コリン作動薬の少量投与では徐脈が見られ,大量投与では心房細動が誘発される.また神経節刺激剤でも誘発されることがある.コリン作動性薬物のうちニコチン様作用の明瞭なAchやカルパコールでは心房細動が発現しやすい.抗コリンエステラーゼ,高張液,高カルシウム溶液等はこの心房細動発現を増強する.心房細動発現はアトロピンで抑制されるばかりでなく神経興奮を抑制するテトロドトキシンや抗アドレナリン剤のレセルピン,β-ブロッカー,グアネシジン等でも抑制されるし,高カリウム溶液や高マグネシウム溶液でも抑制される.これらの成績から,コリン作動性薬物による心房細動の発現にはアドレナリン作動性神経機構の存在を示唆し得ると考える.さらに,心房細動の発現のみならず持続機構についても考察を加えた.
  • 多施設二重盲検試験成績
    木村 栄一, 佐久間 昭
    1978 年 10 巻 5 号 p. 475-480
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Digoxin(以下DX)の誘導体で吸収率のすぐれたβ-methyldigoxin(以下β-MD)のうっ血性心不全に対する効果を二重盲検法によりしらべた.β-MD錠もしくはdeslanoside静注によりまず非盲検下に飽和を行い,維持量投与に切りかえるところで二重盲検を開始,DXを漂準薬として群間比較法で検討した.β-MDが44例,DXが42例に用いられた.その結果,維持量投与開始前と開始2週後の患者の状態の比較,薬の使いやすさの程度,それらを総合して判断した薬の有用性などについては,β-MDとDXの間に有意の差は認められなかった.Digitalisはそれぞれの製剤により使い方が異なり,β-MDとDXの二重盲検では,使いなれたDXの使用法にかたむくおそれがある.したがって,β-MDの有用性がすぐれていたとしても,DXをしのぐ成績をうることは困難であったと考えられた.以上よりβ-MDは臨床上充分な実用価値があると判断された.
  • 特にUremic Lungへの臨床応用を中心として
    佐々 寛己, 小沢 洋, 林 秀晴, 井本 正己, 大久保 満, 丹羽 豊郎, 松井 永二, 甲斐 一成, 小笠原 文雄, 近藤 隆, 渡辺 ...
    1978 年 10 巻 5 号 p. 481-488
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    高血圧を合併した急性左心不全患者11例(うち Uremic Lung 6例)tzPhentolamine(5mgを1mg/分の速度で静注)を投与し,その臨床効果と血行動態を検討して以下の結果を得た.(1)11例中10例で迅速且つ著明な肺水腫症状の改善を認めた.(2)心拍数は不変(+4.4%,ns)であったが収縮期血圧(-21.5%.P<0.01),拡張期血圧(-22.7%,P<0.01)中心静脈圧(-38.6%,P<0.01)はいずれも有意の低下を認めた.(3)一部の症例で測定した平均肺動脈圧は33.3%の低下を,心係数は18.8%の増加を,全末梢血管抵抗は24.4%の低下を認めた.
    以上よりPheRtolamineによる血管拡張療法はジギタリス剤や利尿剤による効果が余り期待できないUremicLungで特に有用であり,また一般の肺水腫患者でも従来の心不全治療が効果を発揮するまでの間の緊急治療法として今後応用できるものと考えた.
  • 中野 博行, 上田 憲, 斉藤 彰博
    1978 年 10 巻 5 号 p. 489-497
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    小児期の心疾患における左室容積分析は,かなり一般化され,臨床に用いられてきたが,左室の形態の定量化や,形態と機能についての検討は,ほとんど見られない.本稿では,19例の正常対照群のほか,8群の小児期心疾患患者144例の計163例の左室正面および側面像を用いて,左室の形態および空間的位置関係を定量化し,さらに.形態と機能の関係を検討した.一般に,左室の形態は,各疾患群の血行動態を反映して多彩となるが,容量負荷群では,左室は円形化し,圧負荷群では尖鋭化した.また,右室容量負荷群における左室の形態と位置関係は特微的であった.円形化した左室では,左室各軸の短縮率が低下し,他方,尖鋭化した左室の軸短縮率は正常であった.正面一方向から計測した左室容積測定法および短軸径から算定する心エコー図左室容積近似法は,ともに,左室の形態と位置関係がそれぞれの疾患群で異なるため,誤差が大きく,その評価には注意が必要である.
  • 特に左室流出路狭窄の成因に関して
    陣内 重三, 古賀 義則, 吉岡 春紀, 杉 健三, 戸嶋 裕徳
    1978 年 10 巻 5 号 p. 498-506
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    高速度超音波断層法を用い非対称性中隔肥厚を伴う肥大型心筋症17例(閉塞型8例,非閉塞型9例)の左室・僧帽弁動態を検討した.
    1)閉塞型では心室中隔上部の著明な肥厚と左室流出路への突出が認められた.2)閉塞型ではSAMは腱索および僧帽弁で形成され,しかも弁の外側部がより大きく前方に偏位し弁に歪みを生じており,これが多彩な超音波所見や血行動態との不一致の原因と考えられた.3)弁の外側部の前方偏位には前外乳頭筋の牽引が,内側部の前方偏位には後内乳頭筋の牽引および左室の廻転運動が関与し,またこの両牽引力のずれが外側部前後尖間に生じ,これが僧帽弁閉鎖不全の原因と考えられた.4)乳頭筋レベルでは強い左室内腔の閉塞は認められなかった.5)以上の所見より肥大型心筋におけ左室流出路狭窄は流出路に突出した室中隔と収縮期に前方に牽引された僧帽弁により形成されるものと推測された.
  • 伴 敏彦, 千葉 幸夫, 安永 敏美, 浅井 信明, 平田 正名, 坂田 隆造, 加来 省三
    1978 年 10 巻 5 号 p. 507-514
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心室中隔欠損と肺動脈狭窄を伴う修正大血管転位症の2例に根治手術を行ない良好な結果を得た.1例は,6歳男子,右左短絡を有するファロー型修正大血管転位症で,両側心室切開を加え,心室中隔欠損孔閉鎖を左側心室切開より行ない,Hancock conduitによる右側心室→肺動脈Byp3ssを作製した.他の1例は3歳女子,左側心室切開にて心室中隔孔閉鎖を,肺動脈切開により,弁性狭窄を解除した。本症は,その解剖学的特異性,その中でも特に,冠動脈の走行および刺激伝導系の走行が正常の場合と異なるため,根治手術において特別の考慮を必要とする.そのうち,1)心室中隔欠損孔の閉鎖,2)肺動脈狭窄の解除の問題点を中心に,若干の考察を加えた.
  • 心電図,ベクトル心電図,胸部X線写真の対比
    石澤 一甫, 横山 永, 岡田 守仁, 松森 昭
    1978 年 10 巻 5 号 p. 515-519
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    健康男子6名について,ECGとVCGを深呼気,深吸気において同時記録し,深吸気におけるRv5とRx,RavFとRyの高さ,Sv2とSzの深さの変動を誘導法の観点から比較し,ついで胸蔀X線(正面像)を深呼気,深吸気で撮影し,以下の結果を得た.
    1.深吸気においては,深呼気に比し.Rv5,Rxは,ほぼ平行して有意に高さを減じ,"superinflate"した肺容積増大と,心臓の回転(立位)の関与を示唆した.
    2.同じ条件下で,RavFとRyはその高さを増したが,Ryのそれは相対的に小さく,誘導法による差を思わしめた.両誘導におけるR波変動の因子として,心臓の下降と回転(立位),心臓と横隔膜との接触の租度が考えられた.
    3.同じ条件下で,Sv2は有意に減少,Szは有意に増大し誘導法による差を示した.その解釈として,電極の位澱の差(第4と第5肋間)以外に,心中心とV2電極またはフランク法E点までの距離の増大と短縮が考えられた.
  • 右室 performance とその臨床的意義
    中沢 誠, 松岡 裕二, 高尾 篤良, 門間 和夫, 安藤 正彦, 今井 康晴, 黒沢 博身
    1978 年 10 巻 5 号 p. 520-525
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Fallot四微症において心室中隔欠損(VSD)が自然狭窄ないし自然閉鎖をおこすと臨床的には心不全が発現する.われわれはこのような症例を現在までに16例経験した.このうち鮮明な右室造影の得られた5例(うち1例は根治術前後)について,右室performanceを検討した.右室造影は造影剤右室内注入により毎秒6枚の二方向連続撮影により行い,同時に記録した心電図から拡張末期,収縮末期を決定した.右室容積計算はGrahamらの発表したSimpson's rule法によった。5例中4例で右室拡張末期容積(RVEDV)が増大し,右室拡張末期圧(RVEDP)が上昇し,右室駆出率(RVEF)は低下し,右室の機能低下を示した.残りの1例ではRVEDVは正常で,RVEFは0.56と5例のなかで最も高かったが,術後は0.66と上昇し,この症例においても術前における機能低下を示唆した.各々の症例の検討から右室不全に至る経過を次のように推測した.VSDの狭小化による右室後負荷増大を,まず拡張末期圧上昇,次いで容積の増大による前負荷増大で代償し,その代償能の破綻とともに強い心不全が出現する.しかもこの経過が亜急性と呼べるほどすみやかなために,この病態を捉え得た場合には可及的早期の心内修復が望まれる.
  • 楠 憲夫, 元田 憲, 舟津 敏朗, 川崎 英, 竹田 亮祐
    1978 年 10 巻 5 号 p. 526-531
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Phechromocytoma crisisに伴う心血管系の合併症の1つとして心筋梗塞およびcardiomyopathy,あるいはmyocarditisが報告されている.われわれも最近,褐色細胞腫を疑い検査をすすめている経過中に高血圧発作とともに前胸部絞掘感を訴え,心電図上,前壁から側壁にかけての心筋梗塞パターンを呈した36歳の男子例を経験した.即刻,crisisと考えてフェントラミン療法を開始し,発作後48日目に右側副腎摘出術を施行した.摘出漂本は重量300gの褐色細胞腫であり,術後は血圧も正常化し順調に経過している.本症例は,臨床的に心筋梗塞の所見を呈したが,心筋梗塞に伴う尿中カテ認ラミソ上昇と考えるにはあまりにも著明な値を示した.さらに,発作後20日目に施行した冠動脈造影では,冠動脈病変はまったく認められなかつたので"catecholamine-lnducedcardiomyopathy"と考えた.発作の誘因としては,臨床検査に使用したtriiodothyronineの関与が示唆された.
  • 小林 明, 鈴木 与志和, 小川 宏一, 藤田 保, 小高 太郎
    1978 年 10 巻 5 号 p. 532-537
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    3年前より幅の広い異常P波と完全左脚ブロックが存在していた15歳の少女に,RosenbauB型のWPW波形と完全左脚ブロックが交互に出現し,最終的には完全房室ブロックによるAdamsStokes発作に移行した多彩な心電図変化を呈した症例を経験した.
    本例の伝導路について次の所見が得られた.完全左脚ブロック時のHis束心電図ではA-H時間100msec.H.V時間110msecであった.WPW波形時のPQ時間は0.16秒と軽度の延長がみられた.頸動脈洞圧迫により容易に完全左脚ブ粋ック波形からWPW波形に移行しえた.WPW波形は常に一定の波形でRosenbaunB型・Boineau AB型で副伝導路は右室後壁寄りにある.しかも完全湧室ブロックを来たしたことより,副伝導路は正常房室伝導路の近傍を走行しているものと思われる.
  • 久米 弘洋, 金子 俊昌, 松井 道彦, 堀越 茂樹, 丸山 浩一, 鈴木 茂, 小机 敏昭, 松井 正治, 杉田 洋一, 中野 雅道, 佐 ...
    1978 年 10 巻 5 号 p. 538-542
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    われわれは最近三尖弁中隔尖を貫通して,右房に破裂したバルサルバ洞動脈瘤を治験した.一般にバルサルバ洞動脈瘤右房破裂は心房中隔に破裂するが,本例のごとく三尖弁中隔尖を貫通して破裂した症例の報告はわれわれの調べた範囲ではない.
    バルサルバ洞動脈瘤右房破裂の修復はそのほとんどは右房切開だけで充分であるが,われわれの症例では,右房切開だけでは,三尖弁そのものを切開せねぽならず,術後の三尖弁閉鎖不全を避けるため,大動脈切開が必要であった.
    術前検査ではシネACGの他にUCGも重要な所見を呈するため,今後欠くことのできない方法と思われる.
  • 佐藤 清春, 石沢 栄次, 田所 正路, 八巻 重雄, 毛利 平, 堀内 藤吾
    1978 年 10 巻 5 号 p. 543-547
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大血管転位症1群の症例で,Mustard手術後7ヵ月目に洞房ブロックに始まる種々の上室性不整脈を呈し,6年後突然死した症例を経験したので報告する.心電図の経時的変化の検討から洞結節機能不全に基づく不整脈と考えられた.さらに洞結節の組織学的検索からそれを強く支持する所見が得られた.遠隔期に不整脈死する問題は重大であり,症例の長期にわたる注意深い観察が必要である.
  • 清水 光行, 景山 茂, 斉藤 宣彦, 富塚 茂臣, 永野 允, 丸山 浩一, 新井 達太
    1978 年 10 巻 5 号 p. 548-551
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 赤神 宏尚, 山上 徹, 柴田 宣彦, 戸山 靖一
    1978 年 10 巻 5 号 p. 552-556
    発行日: 1978/05/01
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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