1978 年 10 巻 5 号 p. 507-514
心室中隔欠損と肺動脈狭窄を伴う修正大血管転位症の2例に根治手術を行ない良好な結果を得た.1例は,6歳男子,右左短絡を有するファロー型修正大血管転位症で,両側心室切開を加え,心室中隔欠損孔閉鎖を左側心室切開より行ない,Hancock conduitによる右側心室→肺動脈Byp3ssを作製した.他の1例は3歳女子,左側心室切開にて心室中隔孔閉鎖を,肺動脈切開により,弁性狭窄を解除した。本症は,その解剖学的特異性,その中でも特に,冠動脈の走行および刺激伝導系の走行が正常の場合と異なるため,根治手術において特別の考慮を必要とする.そのうち,1)心室中隔欠損孔の閉鎖,2)肺動脈狭窄の解除の問題点を中心に,若干の考察を加えた.