抄録
左冠状動脈肺動脈異常起始症に対し異常開口部を肺動脈壁をflangeとして切除し,肺動脈本幹の背部において直接大動脈に端側吻合し治癒せしめた一例を報告すると共に内外の文献にみる結紮術および体動脈冠状動脈吻合術症例についてReviewを加えた.すなわち,左右短絡をみとめない症例,短絡をみとめるも1歳未満の症例は手術成績が不良の為結紮術の適応外と思う.左右短絡を有する1歳以上の症例のみが結紮術の適応とも思われるが“two coronary system”に比して生理的な冠循環が得られないという面では不利をまぬがれない.各病期において“two coronary system”再建を目的とした体動脈冠状動脈吻合法が最も望ましい手術方法と思う.