抄録
肺動脈狭窄症に合併する心内奇形には,心房中隔欠損症(ASD),心室中隔欠損症(VSD)が多い,が,動脈管開存症(PDA)が舎併する症例の報告は,文献的にみて少ない.その中で先天性風疹症候群の症例を検討してみると,肺動脈狭窄症とPDAの合併が,比較的多く見られる.
われわれは,軽いチアノーゼおよび運動制限を主訴として来院した,4歳,女児の肺動脈狭窄症(弁性狭窄および漏斗部狭窄)兼PDAの症例に対し,肺動脈弁切開漏斗部狭窄除去および動脈管閉鎖術を施行し,術後,呼吸管理に難渋したが,日がたつにつれ,右心室圧が下降し,チアノーゼが消失,運動量も増加した症例を経験した.この症例は,先天性風疹症候群を疑わせるようなこともなく,肺動脈分枝狭窄もなく,比較的まれな症例と思われる.
肺動脈狭窄症兼PDAの1治験例を報告するとともに,若干の文献的考察を加えた.