1978 年 10 巻 8 号 p. 849-854
Accelerated idioventricular rhythm(AIVR)は急性心筋梗塞及びジギタリス中毒を除けば,非常にまれな不整脈とされているが,我々は15歳の女子高校生でたまたま学校検診で心電図異常を指摘された一例を経験した.症例は全く無症状で特別な原因疾患を認めず,薬剤服用の既往はない.心電図は,房室解離,融合収縮および先行する洞収縮よりも長い連結期をかいして始まるAIVRが洞調律と互いに移行し合い,各種負荷試験や26時間のHolter monitoringで洞拍数が増加することによってAIVRは消失し,洞拍数が減少すると再びその出現をみ,その心拍数の変動幅が47/分~91/分であることを観察した.現在4ヵ月半の経過観察で全く変化なく,良性な補充収縮機序を有する不整脈と思われる.