抄録
左室壁運動異常(Asynergy)の検出を心拍同期RI心血管造影法によって行った.陳旧性心筋梗塞症51例,冠動脈疾患を有しない症例7例についてしらべた.心拍同期RI心血管造影法はガソマカメラを使用して,第一斜位にて撮影した.すなわち99mTc- パーテクネテート静注後,左室通過時のRI像の数拍を,拡張終期と収縮終期に,ボラ質イド,もしくは35mmフィルムに重複撮影した. 対照例7例中4例に高位高壁部にAsynergyがみられ,この部は左房と左室の重複部であり,Asynergyの判定が困難であった、心電図上前壁中隔梗塞11例中8例(73%)にAsynergyが検出され,前壁,もしくは心尖部にみられた.前壁側壁梗塞7例中全例に心尖部を含む部位のAsynergyがみられた.下壁梗塞15例中14例にみられ,その中12例に下壁を含む部位にみられた.結論として心筋梗塞の既往を有する51症例中43例(84.3%)にAsynergyが検出され,ECGの梗塞部位とよく一致したが,ECGよりさらに立体的に梗塞部位を把握できた.