抄録
リウマチ性心疾患,とくに僧帽弁疾患に長期間罹患している患者に左心房の石灰化が認められることがある.以前は石灰化左房を有する症例の手術は禁忌であるとする意見もあったが,開心術の進歩に伴い今では積極的に手術が行われるようになった,そのため石灰化左房を有する患者の手術に際しては,石灰片や壁在血栓による塞栓,石灰片摘出後の左房壁よりの出血,さらには石灰殻による左房機能の低下など多くの重要な問題を含んでいるため術前診断が十分になされる必要がある.われわれも僧帽弁疾患患者のうち3症例に石灰化左房を認めた瓜これらはいつれも胸部単純X線写真で発見しえたものである.病悩期聞の長い僧帽弁疾患においてはつねに本疾患を念頭において診断するよう心掛けるべきであると考える.