心臓
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症例 コレステロール心膜炎の1例
中西 正井上 大介渡辺 都美宮永 一鳥居 幸雄古川 啓三松久保 晴生勝目 紘伊地知 浜夫
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1981 年 13 巻 1 号 p. 31-35

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抄録

コレスロール心膜炎はまれな疾患で私共の知る限り本邦における報告は11例に過ぎない.今回私共は本疾患に胸膜炎を合併した症例を経験したので報告する.
症例:72歳男子,心拡大の精査のため来院約20年前肺結核症,10数年前に心拡大の指摘を受けた既往がある.本年春,労作時息切れを自覚.理学的に心濁音界拡大と左胸水貯留所見を認め,胸部X線像では上記に合致した所見の他,右肺尖部に陳旧性肺結核病変あり.心電図は低電位.心エコー図では著明な心のう液貯留と心の回転運動を認む.心のう液はgold-paint appearanceを呈しコレステロール結晶を含んだ滲出液.胸水にはコレステロール結晶を検出せず.800mlの心のう液排液により右房平均圧は正常化した.抗結核剤投与にて観察中であるが心のう液の増量はない.以上コレステロール心膜炎の一例について報告する.

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