心臓
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13 巻, 1 号
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  • 中西 成元, 佐々木 達海, 鈴木 茂, 新井 達太, 原田 潤太
    1981 年 13 巻 1 号 p. 3-10
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    僧帽弁狭窄症に対し直視下交連切開術が行われるようになってから,弁尖の交連切開にとどまらず,弁下狭窄に対して癒合した腱索の切離,乳頭筋の縦切開が行われるようになり,閉鎖式交連切開術にくらべ血行動態上著しく改善される症例が多くなった.このため,われわれは弁下狭窄の状態に着目し,右前斜位30°で映画撮影した左心室造影で弁下組織の状態から4つの形に分類した.型は弁狭窄だけで弁下組織に異常のないもの,II型Iは弁狭窄の他に後乳頭筋の肥厚および腱索の肥厚短縮があるもの,III型はI型の所見に加え,前乳頭筋肥厚および腱索の肥厚短縮があるもの,IV型は両側腱索が消失し肥厚した乳頭筋が弁尖に直接癒合したものである.手術手技と対比すると,I型では交連部切開,II型では交連部切開と一側乳頭筋切開,III,IV型は交連部切開と両側乳頭筋切開あるいは人工弁置換術で良好な結果が得られ,手術術式の決定に左心室造影の所見は重要な情報を与え,I~IV型の分類はこれをさらに有効にするものである.
  • 伴野 祥一, 関 顕, 今鷹 耕二, 藤井 潤, 村田 和彦
    1981 年 13 巻 1 号 p. 11-15
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ベクルトル心電図を用いてモニターを行うと体位変換による変化が認められる.われわれは心筋梗塞,心房細動を除く100例につき,右側臥位,左側臥位,坐位のFrank法ベクトル心電図を撮影し,その所見を仰臥位における記録と対比検討した.(1)最大QRSベクトルの大きさは,左側臥位での増大が著明で,水平面,正面で有意に増大した.その他,右側臥位と坐位での左側面での増大と,坐位での水平面,正面での減少が有意であった.空間最大QRSベクトルも左側臥位で平均26.5±25.6%と有意に増大し,右側臥位でも有意に増大したが,増大率は軽度で,坐位では有意の変化はなかった.(2)半面積ベクトルは,坐位ならびに両側臥位において水平面,左側面で反時計方向に偏位した.最大QRSベクトルについても同様の傾向がみられたが,前者ほど明瞭ではなかった.(3)最大Tベクトルは左側臥位の水平面と正面,右側臥位の左側面で増大し,左側臥位では各面で反時計方向に偏位した.
  • 小島 喜久子, 藤巻 忠夫, 荏原 包臣, 篠原 文雄, 塩原 保彦, 小林 正樹, 五十嵐 寛, 新谷 博一
    1981 年 13 巻 1 号 p. 16-24
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    急性心筋梗塞症の心臓破裂の合併は相対的に増加傾向にあり,その予知,診断,治療が注目されている.当科CCUに入院した急性心筋梗塞306例中剖検により確認された自由壁の破裂は13例(42%)で,急性期死亡例の19.4%にあたる.この破裂例について,その特徴を非破裂例と対比検討した.年齢は60歳以上に多く,性別では男6例,女7例であるが,発生頻度は男2.7%,女9.5%で女性に多い.既往に高血圧症を有するものが多く,心筋梗塞,狭心症の既往のある例は少ない.心電図上の梗塞部位はすべて広範な梗塞である.発症より入院するまでの期間に安静を保たない例で破裂の発生は高く,特に女性ではその傾向が強い.合併症では発症後高血圧の持続するものが多く,ショック例は少なく,中等度以上の心不全を有するものが多かった.病理学的検索では非破裂に比し心重量は軽く,左室前壁の破裂が多く,一枝狭窄型のものが多かった.
  • 館田 邦彦, 木村 真一, 平沢 邦彦, 横田 裕光, 柴田 淳一
    1981 年 13 巻 1 号 p. 25-30
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞は突然発病し,急性期死亡率は高い.急性期死亡の大部分は発病数時間以内におこることから,できるだけ早くCCUなどの施設に収容することが望ましいとされている.
    われわれの経験した365例の急性心筋梗塞中2時間以内に収容された120例を中心に早期収容の重要性を検討した.
    収容時間別の急性期死亡率は,発病後12時間までは収容時間が早いほど死亡率は低く,12時間以後の収容では時間が遅れるほど死亡率が低かった.
    2時間以内の早期収容例の死因ではポンプ失調によるものが大部分を占め,他収容時間帯と比較して,不整脈心破裂による死亡は少なかった.しかし,ポンプ失調の合併率は早期収容例で低かった.
    いずれも発病後できるだけ早くCCUなどの施設に収容することの重要性を示していた.
  • 中西 正, 井上 大介, 渡辺 都美, 宮永 一, 鳥居 幸雄, 古川 啓三, 松久保 晴生, 勝目 紘, 伊地知 浜夫
    1981 年 13 巻 1 号 p. 31-35
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    コレスロール心膜炎はまれな疾患で私共の知る限り本邦における報告は11例に過ぎない.今回私共は本疾患に胸膜炎を合併した症例を経験したので報告する.
    症例:72歳男子,心拡大の精査のため来院約20年前肺結核症,10数年前に心拡大の指摘を受けた既往がある.本年春,労作時息切れを自覚.理学的に心濁音界拡大と左胸水貯留所見を認め,胸部X線像では上記に合致した所見の他,右肺尖部に陳旧性肺結核病変あり.心電図は低電位.心エコー図では著明な心のう液貯留と心の回転運動を認む.心のう液はgold-paint appearanceを呈しコレステロール結晶を含んだ滲出液.胸水にはコレステロール結晶を検出せず.800mlの心のう液排液により右房平均圧は正常化した.抗結核剤投与にて観察中であるが心のう液の増量はない.以上コレステロール心膜炎の一例について報告する.
  • 高橋 昌規, 遠藤 崇, 照井 良彦
    1981 年 13 巻 1 号 p. 36-41
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    56歳女性.右大腿骨の病的骨折に対して大腿骨離断術を施行し,切除部の標本にて悪性リンパ腫を疑った.その後,上室性期外収縮からST-T変化とともに第I度房室ブロック,洞性徐脈,徐脈性心房粗動,心室リズムへと心電図上多彩な経過をとり,ペースメーカーの植込みを行ったが心不全が次第に進行して死亡した.剖検所見では右心房全周に広く腫瘍が存在し,右室自由壁や心室中隔上部まで浸潤しており組織学的に細網肉腫と診断した.また,手術材料の再検討により骨腫瘍も基本的に同一の組織構造を呈する細網肉腫であることが確認された.本例において腫瘍の原発部位を明確に決定することは困難であった.心臓腫瘍は原発性と続発性とを問わずまれな疾患であるが,説明困難なうっ血性心不全の進行や心電図所見の急激な悪化をみた場合常に鑑別診断のひとつとして念頭におかねばならないと強く反省している.
  • 延吉 正清, 日浅 芳一
    1981 年 13 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心筋梗塞発症2時間後に施行した冠動脈造影で血栓を証明し,1カ月後の再検で正常冠動脈像を呈した連合弁膜症の1例を報告した.症例は42歳の女性.20年来心臓弁膜症と診断され治療を受けてきた.突然の左前胸部激痛で発病した.発症直後の心電図でI,aVL誘導のST部が上昇しており高位側壁梗塞症と診断した.発症2時間後に施行した冠動脈造影で,左冠動脈回旋枝鈍角枝にカニのツメ状の閉塞所見を認めた.右冠動脈には狭窄所見を認めなかった.血液酵素は,GOT 204u LDH 1440u CPK595mu/dlまで上昇した.治療として,血栓融解剤および抗凝固療法を行った.1カ月後に再検した冠動脈造影で,急性期の閉塞所見は消失し,左右冠動脈ともあらゆる方向からの撮影でも狭窄所見を認めなかった.左室造影でも,明らかな収縮異常を認めなかった.本例は自然発症の血栓を急性期に証明したという点で貴重な症例と考えられた.
  • 渡辺 都美, 宮永 一, 古川 佳代子, 鳥居 幸雄, 古川 啓三, 井上 大介, 松久保 晴生, 勝目 紘, 伊地知 浜夫
    1981 年 13 巻 1 号 p. 50-55
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    成人における心筋梗塞後などに発生する後天性心室瘤は数多く報告されているが,今回先天性と考えられる2症例を経験したので報告する.
    症例1は心雑音の精査を目的として入院した45歳の女性で,症例2は胸部X線像で大動脈弓拡大を指摘され,精査目的で入院した49歳の女性である.両例ともに既往歴および自覚症状に特記すべきものなく,胸部X線像,心電図および超音波検査などにても心室瘤を示唆する所見なく,心血管造影にてはじめて,症例1では右室流出路および左室前側壁に,症例2では左室前側壁にそれぞれ心室瘤形成を認めた.
    成人における先天牲心室瘤はその診断が困難で,きわめてまれな症例と考える.
  • 大塚 伸昭, 諸冨 康行, 児玉 健二, 田仲 謙次郎
    1981 年 13 巻 1 号 p. 56-61
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    われわれは,全身性進行性硬化症に合併した進行性高血圧に対してSQ 14225(Captopril)を投与し,良好な血圧のコントロ-ルと四肢皮膚温の改善をみた1例を経験したので報告する.
    患者は46歳,女性.主訴は皮膚の硬化と指趾の疼痛,壊疽.昭和48年12月ごろよりレイノー現象が出現し,昭和51年には皮膚の硬化と関節の運動制限が出現し,ステロイドの投与をうけた.昭和52年9月ころより,口渇,多飲,多尿が出現し,糖尿病を指摘された.昭和54年1月より指趾の疹痛,壊疽が生じてきたために,6月7日に当科入院した.入院時,血圧は130/80mmHgと正常であったが,8月初旬より急激に血圧が上昇し,200/120mmHgに達した.Angiotensin-II-analogua試験を行い降圧反応を示したため, レニンーアンギオテンシン系依存性の高血圧と判断し,SQ14225を投与したところ.血圧の良好なコソトロ一ルを得ることができ,また四肢皮温の改善もみられた.
  • 鈴木 章夫, 天野 純, 田中 淳, 粕田 晴之, 鈴木 隆三, 大瀬 良雄
    1981 年 13 巻 1 号 p. 62-67
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Coarctation complex (COAC)は乳児期早期に心不全に陥り手術以外には救命手段のないものが多い.われわれは,PDA,ASD,VSDを伴った生後37日,体重2,550gで本邦における最低体重児と考えられる乳児COACに対し一期的根治手術を行い治験を得た.症例 37日女児.満期正常分娩,生下時体重2,850g,生後7日に呼吸促迫のため入院.上肢血圧90/40mmHg,下肢測定不能.第4肋間胸骨左縁にLevineIII° 収縮期雑音.CTR 68%,EKG両室肥大.生後30日に心血管造影施行.Qp/S7.0左右短絡Pp/S0.52の肺高血圧を有する本症と診断生後37日目に呼吸・循環不全のため手術施行.手術は超低体温,人工心肺併用下にPDA切離大動脈端々吻合,経右房VSD閉鎖,ASD閉鎖を行った.COACでは,COAによる afterload と,shunt flowによるpreload の増加によって生後早期に心不全に陥るため,外科治療が必要となるが,超低体温法,術式の改善,呼吸管理の向上によって本症の治療成績も改善されつつある.
  • 大久保 卓, 大沢 幹夫, 山本 紀章, 中田 誠介
    1981 年 13 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    大腿動脈送血による体外循環中に,逆行性大動脈解離をこ起こした1症例を経験した.この合併症は大腿動脈送血による開心手術症例中,1%近い頻度で発生するといわれ,決してまれな合併症とはいえないようである.また,本症発生例には,著明な動脈硬化像が大多数の症例にみられ,40歳以上の症例に偏る傾向が認められる.弁膜症の手術やA-Cバイパス手術など,中・高齡者の手術が増加している現在,これはなおざりにできない合併症といえる.そしてこの合併症は,発見が遅れれば致命的な結果に終る場合が多い.われわれにとって本症例は体外循環約1200例中,はじめての経験であり,その術中診断にとまどった.本稿では,経験症例の詳細を述べ,かつ,逆行性大動脈解離の諸徴候を挙げて早期発見の補助とし,その成因,予防,対策および処置などについて,文献的考察も加えた.
  • 萩原 寛, 若松 隼郎, 牟田 喜雄, 佐野 雅之, 原 寛, 矢野 智彦, 森 秀樹, 鵜沢 春生
    1981 年 13 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    左房粘液腫摘出後residual intracardiac shunt をみとめた症例を経験した.
    症例は54歳女性,体位により変動する僧帽弁狭窄症様雑音により左房粘液腫を疑われ,M-mode心エコー図により左房粘液腫と診断し,心断層図により腫瘍の形態を正確に把握できた.踵瘍は付着部の心房中隔組織とともに摘出した.
    術後,residual intracardiac shunt が疑われcotyastecho 法にて確認できた.
    今日,左房粘液腫の摘出には再発を防ぐため心房中隔織合併切除が推奨されており,今後本例のようなresidualintracardiac shunt が術後発見される可能性があり,その検出にはcontrast echo 法が有用と思われる.
  • 山崎 順彦, 鹿野 和久, 水谷 哲夫, 矢田 公, 湯浅 浩, 草川 実, 山口 信夫, 平野 忠則, 滝川 喜一, 庄村 赤裸, 加藤 ...
    1981 年 13 巻 1 号 p. 79-82
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    第5大動脈弓は胎生早期に消退するといわれている血管で,その遺残例の報告は文献上5例を認めるにすぎない.われわれの経験した症例は4カ月の女児で,チアノーゼを主訴として来院,心臓カテーテル検査および心血管造影の結果,第5大動脈弓遺残を合併した三尖弁閉鎖症と判明した.この第5大動脈弓の遺残自身は何ら障害になっていないものと考えられた.手術は肺血流量の増加をはかるためBlalock-Taussig 手術を施行し,同時に第5大動脈弓遺残血管の解剖学的位置関係を確認した.
  • 藤関 義樹, 山崎 正策, 後藤 正勝, 安倍 義明, 島田 司巳, 川西 克幸
    1981 年 13 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    MCLSの後遣症としての心臓障害には冠動脈瘤だけでなく,左心機能不全や僧帽弁閉鎖不全症などが存在し,臨床上重要な問題となっている.これまでMCLSに起因する弁膜症は僧帽弁閉鎖不全に限られ,その他の弁膜症がひき起こされたという報告は少ない.最近われわれは1歳9カ月の男児で,MCLSの経過中に大動脈逆流と考えられる雑音が出現し,その後の大動脈造影でSellers分類II度の大動脈弁閉鎖不全を認めた症例を経験した.従来,先天性大動脈弁閉鎖不全や原因不明の大動脈弁閉鎖不全と臨床的に考えられてきた症例の中にはMCLSによって生じた大動脈弁閉鎖不全の例が存在する可能性があり,今後,このような例が増加することも考えられるので,本症の発生原因につき考察し,臨床経過を詳細に報告した.
  • 小野 和男, 中村 善明, 束原 康文, 大和田 憲司, 池田 精宏, 待井 一男, 刈米 重夫, 八子 英器
    1981 年 13 巻 1 号 p. 89-94
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    Pre-excitation syndromeに刺激伝導障害を伴うことはまれといわれているが,頻回の発作性上室性頻拍(PSVT),著明な洞停止,房室結節調律を示したpre-excitationsyndromeの1例を経験したので報告する.
    46歳,女子.発作性の動悸・眩量,失神発作にて入院す.心電図ではB型WPW心電図の他にPSVT,洞停止(5秒),徐拍性房室結節調律などの多彩な変化を認めた.
    His束心電図検査を行ったところ,B型WPW心電図を示す際はH波はデルタ波の30msec.後に位置し,PSVTではQRSが正常化しLLRAのA波はHis束のA波より30msec.早期に出現したことよりKent束の存在を,さらに高頻度心房刺激にてA-H間隔の延長しないことからJames線維の共存を考えた.
    以上の結果よりsick sinus syndrome と房室伝導障害を伴ったKent束とJames線維の共存するpre-excitation syndromeと診断した.文献上このような症例はまだ報告されていないと思われる.
  • 高野 達哉
    1981 年 13 巻 1 号 p. 95-100
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 中村 元臣
    1981 年 13 巻 1 号 p. 101-105
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 奥田 稔
    1981 年 13 巻 1 号 p. 106-118
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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