抄録
冠動脈造影を施行した674例につき,risk factorの冠動脈硬化に及ぼす影響について多変量解析を用いて分析した.全例についての検討では,年齢,総コレステロール,高血圧がriskとして高い値を示した.年代別の検討では,若年者はrisk factorの関与が小であった.中年者では高血圧が,老年者では総コレステロールがriskとして大であった.114例の陳旧性心筋梗塞症例全例の検討では,年齢,性,高血圧がriskとして大であった.このうち中年者は喫煙が,老年者は総コレステロールが強いriskであった.これらrisk factorの有意な狭窄分枝数に及ぼす影響は,冠動脈硬化スコアのそれに比し小であった.
risk factorの数が増大するに従い,冠動脈硬化の程度は増加した.年代が大になるに従い,多枝疾患の占める割合がやや多くなる傾向にあったが,基本的には1枝疾患の占める頻度が大であった.