心臓
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症例 先天性冠動脈瘻に合併せる動脈硬化性心疾患の1治験例
泉山 修橋本 章横山 秀雄青本 伸弘杉木 健司数井 暉久小松 作蔵狩野 一臣渋谷 雄也
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1982 年 14 巻 10 号 p. 1297-1302

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抄録
先天性冠動脈瘻は比較的まれな疾患であり,なかでも肺動脈へ開口するものは少ないとされていたが,近年の冠動脈造影の普及によりその報告も数を増し,本邦では約30例の手術例が報告されている.
最近,著者らは労作時および安静時狭心痛を主訴として入院した55歳の男性に選択的冠動脈造影を施行し,左前下行枝近位部より肺動脈幹に開口せる先天性冠動脈肺動脈瘻に加えて,左回旋枝鈍角枝に75%狭窄,右冠動脈中間部に90%狭窄を有する動脈硬化性心疾患の症例に対して外科治療を行い良好な結果を得た.手術は完全体外循環下に肺動脈幹を切開し,冠動脈瘻開口部を確認し,縫合閉鎖し,同時に,左回旋枝鈍角枝と右冠動脈鋭角枝に大伏在静脈による冠動脈血行再建術を施行した.
先天性冠動脈瘻と後天性動脈硬化性心疾患の合併例に対する外科治療は本邦では最初と思われるので2,3の考察とともに報告した.
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