心臓
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症例 経過中寛解を認めたいわゆる原発性肺高血圧症の1例
藤井 効半田 俊之介秋月 哲史中沢 博江中村 芳郎
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1982 年 14 巻 3 号 p. 397-402

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抄録
原発性肺高血圧症はつねに進行性の経過をとり予後はきわめて不良とされている.その自然寛解はBourdillonの報告によるわずか1例をみるにすぎない.われわれはいわゆる原発性肺高血圧症の1症例で.肺高血圧の自然寛解を経験し報告した.症例は28歳女性である.昭和53年ごろより運動時の動悸,失神発作をめるようになった.某医にて甲状腺機能亢進症として治療をうけていたが, 胸部X 線上心陰影左第2弓の突出,超音波心エコー図上右室の拡大を認め,精査のため来院した.心臓カテーテル検査では,肺動脈圧は76/30mmHgと高く,その他の所見より厚生省研究班の診断基準より原発性肺高血圧症と診断した.その後の経過において,心電図,超音波心エコー図などの右心負荷の所見に明らかな改善をみたため,昭和55年6月,右心カテーテル検査を再施行したところ,肺動派圧は36/20mmHgと前回に比し著明に低下していた.さらに長期予後を観察中である.
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