心臓
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研究 老年者うっ血性心不全におけるhydralazineの血行力学的効果と神経体液性因子の関連について
坂井 誠上田 慶二松下 哲桑島 巌村上 元孝
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1983 年 15 巻 1 号 p. 24-30

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抄録
老年者慢性心不全16例(NYHA II 4,III 12例)にhydralazine(H)初回30mg経口投与の前後と90mg/日3日間投与後に血行動態,循環血漿量(TPV),血漿レニン活性(PRA),血漿norpinephrine濃度(NE),血中aldosterone濃度(Ald)を測定し,Hの血行力学的効果と神経体液性因子の関連について検討した.成績:初回量投与後,末梢血管抵抗低下率(ΔSVR)≧30%の9例(I群)では心係数増加率(ΔCI)は+47%と著明であったが,ΔSVR<30%の7例(II群)ではΔCIは+22.6%とI群にに比し小であった(p<0.01).H投与前のN E はI I 群にて高値( I 群0.17±0.02v s II群0 .53±0.15mg/ml,p<0.05)であった.3日間連続投与後,I群では初回投与時に比し投与前値に対するΔCIの減少,ΔSVRの減少傾向とともにNE,PRA,TPVは増加した.一方,II群ではΔCI,ΔSVRの増大傾向を示したが,PRAのみ増加した.
以上より,Hの血行力学的効果は投与前NE値に関連し,継続投与に際する効果もまた神経体液性因子により修飾されると考えられた.
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