心臓
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臨床 急性心不全におけるニトログリセリン軟膏の臨床的検討
多施設共同研究の集計
高野 照夫木村 栄一
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1983 年 15 巻 1 号 p. 61-70

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抄録
全国2 7 施設において急性心筋梗塞および弁膜症などに伴う急性心不全1 6 3 例を対象とし, nitroglycerin 軟膏心窩部塗布の血行動態に及ぼす影響と,同時に臨床的効果を検討した.1回塗布(急性効果)による血行動態の観察では,肺毛細管圧,中心静脈圧,平均血圧,doubleproduct,金末梢血管抵抗が有意に低下した.その効果は,塗布後15分から始まりおよそ6時間持続した.連続塗布(慢性効果)による観察でも,血行動態の変化は1回塗布使用時とほぼ同様であった.1回塗布ではKillip分類,NYHA機能分類でも重症度が有意の改善を示した.また主治医による臨床的総合判定の評価は,1回塗布において79.1%,連続塗布において82.4%の症例に改善がみられた.
以上より,nitoglycerin軟膏は各種心疾患に伴う心不全に対し有効な薬剤であると判定された.
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