心臓
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研究 前圧負荷,後負荷インピーダンス,冠灌流を独立可変とする摘出心標本
新しい左冠動脈主幹部灌流法について
丸山 幸夫芦川 紘一礒山 正玄佐藤 昇一石出 信正滝島 任
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1983 年 15 巻 7 号 p. 751-758

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抄録
著者らが開発してきた前負荷,後負荷,心拍数,冠循環を独立可変とする摘出犬心標本は,冠灌流圧条件を大動脈圧との関連で自動的に変えることは困難であったが,今回冠循環系を改良,発展させ新しい冠灌流摘出心標本を作製した.その方法は,後負荷モデル入口部より冠灌流のためのカニューレを挿入し左冠動脈口に固定,これより供血犬の動脈血を流入させた.この灌流系では,流量(F)に依存したわずかな圧降下(ΔP)はみられたが(ΔP=0.05F-1.31,r=0.99),使用範囲内では冠灌流圧を精度よく測定可能であった.また,カニューレ通過による後負荷インピーダンス絶対値および位相の周波数特性は,ほとんど影響されず,得られる大動脈圧・流量,ならびに左室圧波形は生犬のそれと近似していた.冠灌流条件はサーボシステムを組み入れ,平均大動脈圧との関連で種々の灌流圧条件が得られており,それぞれにおける心血行動態の把握が可能で有用なモデルと思われる.
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