抄録
心膜原発中皮腫の1例を経験し本邦集計による考察を行った.症例は51歳男性,著明な心陰影拡大,心電図は全胸部誘導でrS型,2-D心エコー図で大量の心膜腔液中に右室前壁に密着した奇異な腫瘍エコーを認めた.治療に抗して心タンポナーデは増悪し,心膜開窓術を施行したが術後3日目で死亡した.剖検で心外膜側に小児頭大の腫瘍,それと連続して右室流出路にも胡桃大の腫瘍があり,組織型は中皮腫であった.
本邦例はわれわれの調べでは1981年までに35例あり,平均年齢47.4歳,男女比は4:1,全経過は平均12.3カ月であった.呼吸器症状,浮腫,前胸部不快感が主要症候で,心陰影拡大,ST-T変化を呈することが多かった.
心膜腔液中LDHや細胞診,血管造影,2-D心エコー図および心臓CT検査で,いわゆる心臓腫瘍の診断は可能と思われるが,治療は現状では悲観的で今後の課題である.