心臓
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研究 完全大血管転換症の術前後の心室容積特性
中沢 誠金谷 真弓今井 康晴高梨 吉則奥田 浩史高尾 篤良
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1983 年 15 巻 8 号 p. 841-850

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抄録

完全大血管転換症の術前術後延べ35例を対象に左右心室容積特性を調べた.右室が系統動脈側心室の場合,術前後ともポンプ機能は正常以下となる.同一症例で術前後を比較すると術後は術前より低下している.分画駆出率でみると前半の駆出が正常より少ない傾向がある.右室の高さ,幅,前後の厚さの収縮による変化をみると,術後に前後の厚さの変化が有意に制限されている結果を得た.これは術後の癒着が原因となっている可能性を示している.左室が系統動脈側心室の場合,ポンプ機能は正常または軽度低下にとどまることが示された.左室が肺動脈側心室となる場合その圧が低いと駆出率は高く,駆出期前半の駆出が多い傾向があった.このことが肺血管床に及ぼす影響に注目する必要がある.

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