1983 年 15 巻 8 号 p. 902-907
心筋梗塞後の心室中隔穿孔,4例の診断および外科治療上,断層心エコー法が非常に有用だったので報告する.症例1は前壁中隔梗塞後の穿孔例で,apical 4 chamberviewにて筋性中隔前中部を斜めに貫く中隔穿孔が認められた.症例2は下壁梗塞後の穿孔例で,apical 4chamberviewにて筋性中隔後下部の漏斗状の中隔穿孔が検出された.症例3,4は急性期例で,いずれも下壁梗塞後の穿孔例であり,緊急に断層心エコー法を行った.症例3はsubcostal 4 chamber viewで左室上方中隔より右室心尖部に向かう漏斗状の中隔穿孔が検出され,症例4もsubcostal 4 chamber viewにより,筋性中隔後下部の中隔穿孔が検出された.本症の診断上,断層心エコー法は併存する房室弁病変や心室壁,中隔の異常運動も観察可能であるほかに,左室造影でも不明確な穿孔部位や穿孔口の形態を診断することができ,外科治療上からも有用であった.