1983 年 15 巻 8 号 p. 895-901
VSD,ASD,PSおよびEbstein様奇形によるTRなどを複数で合併したCTGA3例め手術治験例を経験した.VSDは経右室的に,ASDは経右房的に閉鎖し,PSに対しては経肺動脈的に弁切開を,TRには経左房的に弁置換術を行った.術後,全例で洞調律であるが,遠隔期に,三尖弁置換例で左室高血圧を,肺動脈弁切開例の1例でPSの増強を招来した.前者の原因は,用いた人工弁によるTSのため,左房圧の上昇,肺高血圧をきたしたことが示唆され,後者では,弁下狭窄の増強に起因するものと考えられた.心機能に関しては,LVEDVおよびLVEFは全例で,正常あるいは正常化傾向が認められたが,RVEDVは拡大を,RVEFは低下を示し,TGA術後遠隔期の所見と同様であった.手術手技および遠隔成績上の問題について検討し報告した.