1983 年 15 巻 8 号 p. 945-949
幼少時川崎病と思われる既往を有し,最近発症した労作性狭心症の20歳男子大学生に,冠動脈造影上左右冠動脈に拡張および狭窄性病変を有する1例を経験した.症例は, 2 歳時川崎病と思われる40 ℃の高熱, 手掌発赤,皮膚はく離の症状が続き入院加療.中学高校時代は,柔道,陸上部で活躍するも症状なし.大学入学後労作性狭心痛を初めて自覚心電図上V1~3にpoorr-wavepro-gressionを認めたため本科入院. 入院時血液学的に異常なく,胸部X線にても心拡大なし.Master Double Twostep Testでも陰性であった.しかし左室造影上antero-basalにhypokinesisを認め, 冠動脈造影上AHA分類Seg.2,6,7,11に冠動脈病変を認めたため,昭和56年12月,本学胸部外科にてA-C bypass術を施行され,術後順調に経過している.