心臓
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症例 高齢者(50歳以上)バルサルバ洞動脈瘤破裂2例の経験
稲岡 正己佐々木 昭彦塚本 勝杉木 健司安倍 十三夫小松 作蔵
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1984 年 16 巻 12 号 p. 1268-1274

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抄録

最近,われわれは2例の58歳,女性の先天性バルサルバ洞動脈瘤破裂を経験し,外科治療に成功したので,その診断,治療法について報告する.
症例1は,軽度の大動脈弁閉鎖不全を合併し,右冠動脈洞から右室流出路へ破裂した拇指頭大の動脈瘤で,これに対し大動脈側から破裂口のパッチ閉鎖と右室側から瘤切除および開口部の直接閉鎖を施行した.症例2は,術前不整脈を伴い,無冠動脈洞から右房へ破裂した動脈瘤で,大動脈側および右房側からそれぞれ直接閉鎖を施行した.術後は,2症例とも自覚症状の改善および心胸郭比の縮小が得られ,症例2では不整脈は消失した.
術前の非侵襲的診断法として,症例1では断層心エコー図法が,症例2ではパルスドップラー心エコー図法が有用であった.

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