心臓
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症例 正常心房位,房室接続concordantで右胸心,l型大血管転換を示した criss-crossheartの1例
心血管造影からの考察
有沢 淳曽根 脩輔森本 静夫池添 潤平東原 悳郎小林 順二郎島崎 靖久松田 暉広瀬 一川島 康生小川 實
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1984 年 16 巻 2 号 p. 182-187

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抄録
criss-cross heartは心房から心室への血流が互いに交差する心奇形であるが, 正常心房位で房室接続 con-cordantでしかも右胸心であるものは非常にまれである. 正常心房位で右胸心を示した10歳の男児に心血管造影を施行した結果, criss-cross heart,房室接続 concordant, l型大血管転換,肺動脈流出路および弁性狭窄を証明した. 左室は右後方, 右室は左前方に位置し心尖は右を向き, 三尖弁と右室流入路の低形成を伴っていた. 冠動脈は右前大動脈洞より右冠動脈が, 後洞より左冠動脈が起始し, 右冠動脈起始直後より前下行枝が分岐し, 心室錯位に類似していた. 本症例の形成過程は, d-loop心において心室洞部が 180°時計方向に回転し, しかも心尖を右に向けたとは考えにくく, l-loop に近い原心臓において右房と右室の間に房室弁による交通が生じたとも考えられ, 正常心房位で左胸心を示す criss-cross heartとは区別すべきものと考え報告する.
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© 公益財団法人 日本心臓財団
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