心臓
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16 巻, 2 号
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  • 心調律変化と薬物
    千葉 茂俊
    1984 年 16 巻 2 号 p. 141-154
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心調律に影響を及ぼす物質は非常に多い. しかし, 洞結節部は特に自律神経線維の分布が濃密な領域であり, 歩調取り活性に影響を与える自律神経機構の関与がきわめて強い. したがって薬物投与によって起こる心拍数変化をその物質による直接作用としてのみ捉えることはできない. 間接作用として主に自律神経を介して修飾されるからである. そこで生体内活性物質や薬物による調律に及ぼす効果もその直接作用と間接作用に分けて見極めることが大切である. 著者らの行ってきた生体位および摘出イヌ心臓の洞結節動脈の自己血灌流法および供血犬の血液による交叉灌流法で観察できる直接作用の成績を参照にしながら, 生体内物質や薬物の洞調律に及ぼす作用を述べる. まず薬物の作用を頻脈と徐脈に分け, 次に自律神経系の関与の有無で作用を分けて述べることにする.
  • 進行性筋ジストロフィー症の胸郭変形例における検討
    矢澤 良光, 大滝 英二, 永井 恒雄, 林 千治, 細川 修, 渡辺 賢一, 柴田 昭, 高澤 直之
    1984 年 16 巻 2 号 p. 155-163
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    進行性筋ジストロフィー症(PMD)の僧帽弁逸脱症(MVP)の発生に対する心の形態変化の意義について, PMD58例を対象に心エコー図, 胸部X線像で検討した. 胸椎が前方へ変形した例では後彎例に比して MVP が有意に多く(p<0.001),また胸椎の変形に伴う胸郭の偏平化と左房径および左室径は関係し(各々r=0.62,r=0.37,p<0.001),左房径または左室径の小さい胸郭の偏平化例に MVP が多発した. 胸椎の側彎は MVP の発生と相関を示さなかった. MVPを認めた例は認めない例に比して左房径と左室径が有意に小さく(p<0.05-P<0.001), 逆に左房径と左室径の両方が小さいとほとんど全例にMVPがみられた. 以上よりPMDのMVPは胸郭の変形により左房から左室基部に至る部位が圧迫を受けて心の形態変化を生じ, 僧帽弁とその支持組織の位置関係が変わり発生するものと推測された.
  • 門間 和夫, 遠山 歓, 高尾 篤良, 安藤 正彦, 中沢 誠, 広沢 弘七郎, 今井 康晴, 小柳 仁, 原田 昌範
    1984 年 16 巻 2 号 p. 164-169
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    肺動脈弁直下の VSD(VSDI型) 395例の合併症発生を分析した. 合併症内訳は大動脈弁逸脱のみ77例, 逸脱 +AR95例, Valsalva洞動脈瘤36例, 肺高血圧111例, 以上のいずれも合併なし76例であった. 大動脈弁逸脱とARは2歳以後増加し, AR発生年齢のピークは5歳ないし8 歳にあった. 20 歳以後にも少数の A R 発生例があった. Valsalva 洞動脈瘤は 10 歳台で出現しはじめ, 20歳台で発生例のピークがあった. 肺高血圧合併例は大部分乳幼児期に入院手術していたが, 大動脈弁逸脱 -AR-Valsalva洞動脈瘤を合併した例はなかった. これらの合併症例を各年齢別に分析すると, 肺高血圧のない VSDI型では2歳以後大動脈弁逸脱とARを生じ, 遅れて10歳以後に Valsalva 洞動脈瘤を次第に生じてくることが明らかになった.
  • 土井尻 健一, 肥田 敏比古, 松下 一夫, 市川 隆, 大関 哲郎, 斎藤 昌一, 佐藤 正友, 三浦 秀悦, 吉永 司郎, 小野寺 竜彦 ...
    1984 年 16 巻 2 号 p. 170-175
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    各種心疾患における血管外肺水分量(EVLW)の測定を試み, その臨床的有用性を検討した. この度市販された二重指示薬希釈法によるアメリカン・エドワーズ社血管外肺水分量測定装置 Model9310を用いて虚血性心疾患, 不整脈など心疾患患者51例を対象として本測定をおこなった. その結果, 1)EVLWは, 臨床的に心不全を伴う例は伴わない例より高値であった. 2)心不全例において EVLWと肺動脈楔入圧や膠質浸透圧 - 肺動脈楔入圧との間にそれぞれ有意の相関関係を示したが, 平均動脈圧や心係数との間には相関関係はなかった. 3)CCUにおいて,急性心筋梗塞患者に EVLWを測定しながら経過を観察することは, 病態把握上非常に有用であった. 以上より, 心疾患患者における本測定は, 心不全に対する病態把握上, 臨床的には今までにない有用な検査法と考えられた.
  • 土肥 嗣明, 立石 一馬, 高橋 龍太郎, 森 一博, 鎌田 政博
    1984 年 16 巻 2 号 p. 176-181
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    楽音様収縮期雑音(いわゆるsystolic whoop)を呈した心室中隔欠損症(以下VSDと略)の2歳,3歳の2幼児例を経験した. 両者共, VSDは膜様部欠損で, 心カテ所見では肺高血圧はなく, 肺体血流比は 1.9, 1.8 ときわめて類似の所見を示した. いずれもVSDの特徴的な心雑音とは別に Levine IV度の楽音様収縮期雑音を胸骨右縁第4肋間を中心に聴取した. さらに心エコー図, パルス・ドップラー法にて VSDの jetによる三尖弁構造体の共振が楽音様雑音の原因と考えられる所見が得られ, 音源検索に特に有用であった. VSDに伴う楽音様雑音は Mckusickらの報告以外には見当らずきわめてまれと思われ, 若干の文献的考察を加え報告した.
  • 心血管造影からの考察
    有沢 淳, 曽根 脩輔, 森本 静夫, 池添 潤平, 東原 悳郎, 小林 順二郎, 島崎 靖久, 松田 暉, 広瀬 一, 川島 康生, 小川 ...
    1984 年 16 巻 2 号 p. 182-187
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    criss-cross heartは心房から心室への血流が互いに交差する心奇形であるが, 正常心房位で房室接続 con-cordantでしかも右胸心であるものは非常にまれである. 正常心房位で右胸心を示した10歳の男児に心血管造影を施行した結果, criss-cross heart,房室接続 concordant, l型大血管転換,肺動脈流出路および弁性狭窄を証明した. 左室は右後方, 右室は左前方に位置し心尖は右を向き, 三尖弁と右室流入路の低形成を伴っていた. 冠動脈は右前大動脈洞より右冠動脈が, 後洞より左冠動脈が起始し, 右冠動脈起始直後より前下行枝が分岐し, 心室錯位に類似していた. 本症例の形成過程は, d-loop心において心室洞部が 180°時計方向に回転し, しかも心尖を右に向けたとは考えにくく, l-loop に近い原心臓において右房と右室の間に房室弁による交通が生じたとも考えられ, 正常心房位で左胸心を示す criss-cross heartとは区別すべきものと考え報告する.
  • 高橋 賢二, 大河内 康光, 工藤 堯史, 相内 晋, 藤田 孟, 百川 健, 康井 制洋
    1984 年 16 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    心室中隔欠損を伴わない肺動脈閉鎖症は自然予後が不良な先天性心疾患である. 新生児期の手術成績はきわめて悪く, まだ手術方法は確立していない. 今回われわれは, 生直後より重篤な心不全ならびに低酸素血症を呈した本症患児に生後5日目に Brockの手術を施行し, 良好な経過をとっている1例を経験したので文献的考察を加えて報告する.
  • 閏間 美智子, 津田 隆志, 松岡 東明, 戸枝 哲郎, 山添 優, 和泉 徹, 荒井 裕, 小沢 武文, 柴田 昭
    1984 年 16 巻 2 号 p. 194-199
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    ASDに左室肥大を合併することはまれである.われわれは, 心電図および左室造影で著明な左室肥大を示したASDの1例を経験した. 症例は44歳の男性. 高血圧150/90-100mmHgがあり, 検診で心雑音と心拡大を指摘された. 聴診にて, 第2肋間胸骨左縁の収縮期雑音と II音の固定性分裂があり, 心エコー図では, 心室中隔の厚さ 1.5cm, 左室後壁の厚さ 1.1cmで, 右室径の拡大があり, 心室中隔の動きは低下していたが奇異性運動ではなかった. 心臓カテーテル検査にて, 肺動脈圧 31/11(平均20)mmHg, 右室拡張末期圧 15mmHg, 左室拡張末期圧も 21mmHgと上昇し, Qp/Qsは2.30であった. 本症例には軽度の高血圧があるが, 高血圧の程度とは不釣り合いな, 著明な心電図上の左室肥大, 特徴的な左室造影所見より, ASDに合併した肥大型心筋症が強く疑われた. 治療方針の決定のため, ASD閉鎖試験も試みた.
  • 塩見 利明, 小林 正, 水谷 登, 西山 靖弘, 渡辺 務
    1984 年 16 巻 2 号 p. 200-205
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    5年間にわたり心電図上持続性ST上昇所見を呈する高齢者の肥大型心筋症の1例を経験し, その心電図変化と病態との関連性について検討を行った. 本例の心電図は, 後側壁心筋梗塞類似型であり, I,II,aVFおよび V4-6誘導にかけて異常Q波を伴うST上昇を, V1誘導で陽性T波を伴うR波増高を示していた. この心電図所見は5年前より既に認められ, 以後ほとんど不変であった. 本例の持続性ST上昇機序は, 左室造影所見より心尖部の局所性収縮期膨隆に基づく傷害電流ないしは左室壁運動異常によるものと思われた. 本例では, 明らかな冠動脈病変および急性心筋梗塞の既往がなかったことより, 心尖部心室瘤の原因は不明であった. しかし, 肥大型心筋症に心室瘤を合併した場合には, 通常より強い牽引が心室瘤茎部に加わることが推測され, そのために傷害電流の発生も増強し,持続性ST上昇を生じ易い状態にあると考えられた.
  • 安田 紀久雄, 元田 憲, 多賀 邦章, 清水 賢巳, 岩井 久和, 布田 伸一, 竹田 亮祐, 中沼 安二, 太田 五六, 竹越 忠美
    1984 年 16 巻 2 号 p. 206-212
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    患者は56歳の男性, 30年来糖尿病がありインスリンを使用していた. 1977年, 79年, 81年に原因不明のうっ血性心不全として入院加療, 1981年5月には高度の房室ブロックのためペースメーカー植え込みをうけ, 同年7月当科へ転院した. 入院時,血圧は正常, 心音では第3音, および収縮期雑音を聴取した. 浮腫はなかったが, 腱反射の消失, 振動覚の低下あり, 心胸隔比56%, 心電図は完全左脚ブロックであった. 入院後, 心不全を繰り返し, 肺炎も併発し, 第55病日に死亡した. 剖検にて心重量580g, 左室は中等度拡張, 心室中隔, 両室自由壁は肥厚し, 割面で全周性に大斑状の線維化巣を認めた. 冠動脈は著変がなかったが, 組織学的に心筋の肥大, 錯綜配列, 間質および血管周囲性の線維化, ならびに心筋内小動脈の内膜肥厚, 内腔の狭小化を認め, 1974年, Hambyが命名した, いわゆる糖尿病性心筋症に相当する所見を呈した.
  • 下村 克朗
    1984 年 16 巻 2 号 p. 214-224
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 岩 喬, 岩瀬 孝明
    1984 年 16 巻 2 号 p. 225-234
    発行日: 1984/02/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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