症例は, 28歳, 男性, 職業は大工, 昭和50年, 両側前腕の筋肉痛, 有痛性皮下硬結が出現し, 多発筋炎の疑いで治療を受け, 症状は軽快したが, 53年5月には間歇性行が出現, 11月には右下肢の血流障害のため右膝窩跛動脈に血管の自家移植を受けた. 54年, 再び間歇性跛行が出現し, 右下肢の血栓除去術を受けたが, 症状は軽快せず, 当院外科初診. ウロキナーゼ療法も試みられたが, 著明な改善なく経過し, 55年9月12日突然胸痛が出現し, 心筋梗塞の診断で緊急入院となった. 入院時には起坐呼吸がみられ肺野に湿性ラ音も聴かれた. ただちにGIK, ウロキナーゼ療法を開始したが, 尿量が減少し血圧も80台となり, 心原性ショックの状態と考えられたため, 外科に転科しIABPを実施したが, カテーテルを挿入した左下肢末梢の壊死, および腎不全, 肺炎を併発し死亡した. 剖検の結果, 四肢の血管変化と冠状動脈の変化は, 一元的にBuerger病によるものと考えられたので, 報告する.