心臓
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症例 病初期より完全房室ブロックを呈し,剖検にて冠状動脈病変を認めた拡張型心筋症の1例
今村 光秀福田 圭介河野 知記藤野 正典広木 忠行荒川 規矩男竹下 盛重
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1984 年 16 巻 3 号 p. 284-290

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抄録

48歳男性の家族性拡張型心筋症の1剖検例. 35歳の時意識消失発作があり, 37歳で心電図上完全房室ブロックを確認し人工ペースメーカーの植え込みを受け, 48歳で難治性の心室性頻拍症をきたし, 心室細動で死亡した. 剖検では, 心重量520gで, 両心房心室は中等度に拡張し, 心外膜側に強い全周性の脂肪浸潤・線維症を認め, 右心室と左心室後側壁の一部では心筋緻密層の消失を見た. 冠状動脈左前下行枝に 75%,回旋枝に50%の狭窄病変を認めた. 病変分布は拡張型心筋症の1つの典型と考えられた. すなわち有意の冠状動脈病変をもちながら, 虚血を示唆する心筋病変を認めなかった. また連続切片法による刺激伝導系の検索では, ヒス束から左右両脚, Purkinje網の一部にわたる広範で高度な伝導系細胞の脱落を認めた.

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