心臓
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症例 壁在血栓の検出に断層心エコー図およびCTが有用であった拡張型心筋症の1例
望月 茂稲垣 末次中村 喜久生関 浩奥 孝行仁木 偉瑳夫
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1984 年 16 巻 3 号 p. 291-297

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抄録

従来拡張型(うっ血型)心筋症に塞栓症の合併が多いことはよく知られている. 最近われわれは脳塞栓症を合併した拡張型心筋症で, 断層心エコー図および CTが左心室壁在血栓の検出に有用であった1例を経験した. 症例は28歳男子で, 脳塞栓発作にて入院した. 胸部X線写真ではCTR70%と著明な心拡大を示した. 心エコー図では心室中隔, 左室後壁共に動きの減弱が著明であった. また, 左心室心尖部方向に血栓エコーを認めた. 断層心エコー図では心尖部方向に明瞭な血栓エコーが記録された. 造影剤投与後の CTでも左室心尖部に血栓エコーが検出された. 左心カテーテルでは左室拡張終期圧は 38mmHgと著明に上昇していた. 左室造影では心尖部に巨大な壁在血栓が認められた. 心内膜心筋生検組織は心筋周囲のびまん性の線維化を示した. 拡張型心筋症に伴う左心室壁在血栓の検出に非観血的な断層心エコー図およびCTが有用であることが確認された.

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