心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例 運動能力低下の自覚なく肺性心に至った肺塞栓症の1例
中村 芳郎松川 重明堀 進悟山崎 元半田 俊之介
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 16 巻 3 号 p. 298-302

詳細
抄録

下肢静脈瘤起源の thromboemboliによる反復性肺塞栓症で約5年間に高度の肺高血圧症が進行したにもかかわらず, ほとんど自覚症なく経過した49歳男性例を報告した. 本例はいわゆるpulmonary micro-thromboembolismではなく, 肺血流スキャンにより容易に肺塞栓症と診断される型であったが, 肺動脈収縮期圧 110mmHg, 右室拡張末期圧 14mmHg, 心係数2.4 l/min・m2で著明な三尖弁閉鎖不全を示していたにもかかわらず, 日常の会社での管理職業務を遂行していた. 肺塞栓, 右心不全で比較的自覚症にとぼしい例があり, 発見すれば抗凝血薬療法および下大静脈閉塞で病状の進行を停止させられることを示した.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top