1984 年 16 巻 4 号 p. 381-385
本邦初例と思われるisolated cardiac lipidosisの1剖検例を報告する.症例は,生後6カ月の女児で,心雑音を指摘され当科を受診した.心電図上WPW症候群B型を示していたが,初診20日後に突然死をきたした.剖検にて心内膜直下のsubendocardiumに複合脂質の蓄積した大型のformy cellが層状に存在し本症と確診した.本症は,2歳までの乳幼児,それも女児に多くみられ,重篤な頻拍性不整脈による急死が臨床的特徴である.病理組織学的にも,臨床像を裏づけるようにformy cellの集団が,刺激伝導系を中心に存在する.本疾患の原因は不明で,これまでに19例の報告があるに過ぎない.