心臓
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16 巻, 4 号
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  • propranololの投与量,血中濃度と臨床効果
    宮崎 利久, 藤井 効, 野間 重孝, 盛 英三, 小川 聡, 山崎 元, 半田 俊之, 中村 芳郎
    1984 年 16 巻 4 号 p. 335-343
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    propranololの慢性投与を行っている労作狭心症患者において, 慢性期の投与量, 血中濃度と運動耐容能の相互関係について検討し以下の成績を得た. 1)propranololの投与量と血中ピーク濃度は高い正相関を示した. 一方血中濃度-β遮断効果の間には投与量-β遮断効果との間よりも低い相関しか認めなかった. 2)propranolol増量(平均投与量 68mgvs.144mg/日)により運動耐容能の増加が認められた. しかし運動耐容能が最大の時点の投与量, 血中濃度は症例ごとに大きく異なっていた. 3)運動により虚血が誘発された際の double productは propranolol投与後に減少する傾向があった. この傾向は propranololにより運動耐容能に改善のみられなかった群において顕著であった. 4)冠動脈造影所見との対比による検討では, 1枝病変例において propranololにより運動耐容能の著しく改善する場合を認めた.
  • 上田 憲, 野島 恵子, 斉藤 彰博, 中野 博行
    1984 年 16 巻 4 号 p. 344-349
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    乳児期大動脈縮窄13例と大動脈弓離断4例の計17例に対して,術前および術後にMモード心エコー検査を行い,血行動態の分析を行った.左室径は心室中隔欠損(VSD)非合併群では正常より小さく,VSD合併群では正常より大きかった.ただし1カ月未満の例では正常より小さい傾向を示した.左室径は一期的手術群では術後正常に近づくのに対して,二期的手術群では大動脈縮窄,大動脈弓離断解除後急激に拡大し,心室中隔欠損閉鎖後正常化した.肺動脈絞扼例では左室径の拡大は軽度であった.右室径,右房径はVSDの合併に関係なく全例で正常より著明に大きく,術後も完全に正常化しない例が多かった.重度の三尖弁逆流の例では術後も右室径,右房径ともに著明な拡大を示した.Mモードエコー検査は本症の血行動態をよく反映し,手術方針の適切な判断に手がかりを与えるものと思われる.
  • assesedby hemodynamic changes
    深見 健一, 斉藤 宗靖, 住吉 徹哉, 土師 一夫, 平盛 勝彦, 池田 正男
    1984 年 16 巻 4 号 p. 350-354
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    isosorbide dinitrate (ISDN)の新しい剤型である sprayの有用性を, 血行動態に及ぼす効果の面から検討した. 対象は合併症がなく, 血行動態的に安定した急性心筋梗塞症9例である. ISDN spray 2.5mgを頬粘膜に吹きつけるように噴霧投与した後, 心拍数, 血圧, 肺動脈圧の変化を経時的に観察し, nitroglycerin (TNG)0.3mg, ISDN 5mg舌下投与後のそれらと比較した. 投与順序は無作為とし, 1剤の観察終了後2時間の wash out時間を設けた. ISDN spray投与後, TNGおよびISDN舌下後と同等の肺動脈圧, 収縮期血圧の下降と心拍数の増加を認めた. 肺動脈収縮期圧を指標とした効果発現時間は, TNGで, 3.9±1.8分, ISDN sprayで 3.3±1.3分, ISDN舌下で10.3±13.1分であった. 効果持続時間は, それぞれ, 8.7±7.2分, 37.8±30.9分, 42.2±27.1分であった. 以上より, 血行動態に及ぼす効果からみた ISDN sprayは, TNGおよび ISDN舌下と同等の効果を有し, 前者の速効性と後者の持続性を備えた有用な剤型であると考えられた.
  • 市橋 匠, 三崎 拓郎, 若狭 林一郎, 松永 康泓, 橋爪 泰夫, 岩 喬, 小田 豊, 浅石 嵩澄
    1984 年 16 巻 4 号 p. 355-362
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    症例は5歳男児で,1歳の時右房横切開および右室横切開により心室中隔欠損のパッチ縫合術を受けた.術後数日後より薬剤で制御が困難な頻拍発作(200-300/分)が頻発するため当科を受診した.電気生理学的検査などにより心房粗動の1:1伝導が頻拍をおこし, wide QRSの頻拍はそれに心室内変行伝導が加わったものと考えた.完全房室ブロックの作製を目的としHis束および房室結節周囲の冷凍凝固を行った.術後結節調律と洞調律が混じていたが3週後には洞調律に戻った.術後1年半の現在,すべての薬剤を止めているが,頻拍の再発を術後一度も認めていない.冷凍凝固した房室結節周囲に心房粗動の macro-reentryの回路が含まれていたものと考える.
  • 小出 司郎策, 桜井 与志彦, 川田 志明, 正津 晃, 星合 充基, 大滝 誠
    1984 年 16 巻 4 号 p. 363-367
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    59歳, 男性. 体格は長〓, 痩身で鳩胸. 僧帽弁狭窄兼閉鎖不全症, 左房下壁に3cmの開口をもつ左房瘤(憩室), その内腔に浮遊する有茎性球状血栓, 左房後下壁の壁在血栓を伴う症例を経験した. 左房瘤の診断には肺動脈注入による心血管造影と断層心エコー図, 左房内血栓の性状と部位の診断には断層心エコー図とCTスキャンが有用であった. 僧帽弁置換手術, 血栓除去,左房腔内から瘤開口部の縫合閉鎖を行い, 順調に経過している. 左房瘤は極めてまれで, 14例の報告をみるに過ぎない.
  • 中村 千春, 渡辺 隆夫, 白田 保夫, 磯田 昇, 島崎 朋司, 西村 和典, 佐藤 徹, 小林 稔, 入沢 敬夫, 鷲尾 正彦, 山口 ...
    1984 年 16 巻 4 号 p. 368-373
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    慢性の非特異性血管炎が原因で肺動脈本幹から左右肺動脈主幹部にかけての高度の狭窄と,左肺動脈の肺門部より末梢での閉塞を来たした44歳の女性に対して右室-右肺動脈バイパス手術を行い比較的良好な結果を得た.本症例の肺動脈病変は大動脈炎症候群のそれに酷似していたが,大循環系では術中上行大動脈壁の著明な肥厚を認めたものの,血管造影上大動脈炎症候群に特有な狭窄性あるいは拡張性病変,内腔不整などの所見は認められなかった.また線維性縦隔炎類似の気道狭窄を合併しているなど非常に珍しい所見を示していたので,その臨床所見の概要を報告し成因について考察した.また血管炎による後天性肺動脈狭窄症に対する外科的治療もほとんど行われていないと思われたので,この点についても考察を行った.
  • 大山 博司, 貝瀬 昌昭, 佐藤 友英, 馬場 茂樹, 田沢 秀夫, 田村 治, 武士 仁彦, 草野 景一, 渋谷 正直, 松田 光生, 宮 ...
    1984 年 16 巻 4 号 p. 374-380
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    上腸間膜動脈のmycotic aneurysmを伴った細菌性心内膜炎の1例を経験したので報告する.症例は61歳の女性で心疾患の既往はないが,半年前より発熱を繰り返し,心不全症状が出現したため当科へ入院した.全収縮期雑音を聴取し,心エコー断層法にて僧帽弁前尖にエコー強度の増強を認め疣贅を疑った.入院後腹痛,嘔吐が出現し,動脈塞栓によるイレウスを疑い緊急動脈造影を施行し上腸間膜動脈の閉塞および動脈瘤を認めた.動脈瘤bypass手術および僧帽弁置換術を二期的に行い救命した.なお動脈瘤壁よりPeptococcusが検出された.上腸間膜動脈のmycotic aneurysmは本邦ではきわめてまれで,欧米においても剖検例の報告が大多数で,生前診断や救命の困難な疾患である.本例の救命には敏速な動脈造影による確定診断と緊急手術が不可欠である.細菌性心内膜炎の起因菌,心エコー図法による診断および動脈瘤手術に関する若干の文献的考察を併せ行った.
  • 加納 一毅, 小野木 宏, 藤木 栄, 手塚 文明
    1984 年 16 巻 4 号 p. 381-385
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    本邦初例と思われるisolated cardiac lipidosisの1剖検例を報告する.症例は,生後6カ月の女児で,心雑音を指摘され当科を受診した.心電図上WPW症候群B型を示していたが,初診20日後に突然死をきたした.剖検にて心内膜直下のsubendocardiumに複合脂質の蓄積した大型のformy cellが層状に存在し本症と確診した.本症は,2歳までの乳幼児,それも女児に多くみられ,重篤な頻拍性不整脈による急死が臨床的特徴である.病理組織学的にも,臨床像を裏づけるようにformy cellの集団が,刺激伝導系を中心に存在する.本疾患の原因は不明で,これまでに19例の報告があるに過ぎない.
  • 小田 栄司, 前田 達郎, 渡部 透, 岡部 正明, 木村 道夫, 木戸 成生, 林 雅美, 村田 実, 相沢 義房, 小沢 武文, 柴田 ...
    1984 年 16 巻 4 号 p. 386-391
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
    著者らは,死因となり得る明らかな疾患を有せず,深夜睡眠中に急死し,死亡時の心電図が記録された青壮年の2例を経験した.2例で死亡30分前,180分前よりVPCの出現を認めたが(毎分21および64),徐脈やQT延長は認めなかった.VPC(R on T)にひきつづき両例ともtorsadesde pointesを示し,心室細動に移行した.1例では同様の一過性の心電図所見が失神発作に一致して認められた.生前の心電図所見では両例とも一過性の心房細動を認め,PR時間の延長も認めた.1例では他に洞機能不全も一過性に出現した.2例目はWenckebach型AVブロックと,長いPR間隔時のQRSの変形を認め,His束以下の伝導障害も推定された.剖検された1例では死因となる疾患は認められなかった.
  • 入沢 宏
    1984 年 16 巻 4 号 p. 395-402
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • その抗不整脈剤による修飾
    有田 真, 清末 達人
    1984 年 16 巻 4 号 p. 403-415
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
  • 橋本 敬太郎
    1984 年 16 巻 4 号 p. 416-425
    発行日: 1984/04/25
    公開日: 2013/05/24
    ジャーナル フリー
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