心臓
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症例 Catheter electrical ablation(カテーテル電気的切除術)が奏効したFallot四徴症根治手術後の心室性頻拍症の1例
小田 弘隆相沢 義房鈴木 薫佐藤 政仁相沢 雅美村田 実森川 政嗣柴田 昭金沢 宏宮村 治男江口 昭治
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1986 年 18 巻 12 号 p. 1387-1393

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抄録

Fallot四徴症根治手術および,肺動脈弁置換術後,心室性頻拍(VT)が出現する症例を経験した.VTの治療として,外科的療法が不可能と判断し,カテーテル電気的切除術を行い成功した.VTの機序はre-entryによるものと思われ,その最早期興奮部位は右室流出路(RV outflow)であった.カテーテル電気的切除術は,Electro-Catheter Co.Cook 6 F(3極)を使用し,catheter tipを陰極,右側胸部の対極板を陽極とした.全身麻酔下に直流除細動器より200 joule 3回の放電を続けて行った.RV outflowでVT時にfragmentationを記録した電極からの放電は不成功であった.VT時心腔内心室電位が体表面心電図QRSより30msec先行する部位での放電にて成功した.術後合併症はなく,6カ月現在VTの再発はない.本症例はFallot四徴症根治手術後の難治性心室性頻拍症に対して,初めてのカテーテル電気的切除術であるため報告した.

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