心臓
Online ISSN : 2186-3016
Print ISSN : 0586-4488
ISSN-L : 0586-4488
症例 第2度および第3度房室ブロックを呈したリウマチ熱の1症例
金沢 正晴遠藤 嗣有子布川 徹武山 大也鈴木 沢也八島佳 生子高橋 誠鈴木 敏巳
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 18 巻 12 号 p. 1413-1418

詳細
抄録

リウマチ熱の経過中に完全房室ブロックから第2度および第1度房室ブロックを経て正常伝導に回復した症例を経験した.
患者はリウマチ熱の既往がある34歳の男性で発熱,膝関節痛を主訴として入院,一過性に大動脈弁および僧帽弁逆流が出現した.血沈の亢進,白血球の増加,CRP強陽性,ASO・ASK値の上昇を認め,リウマチ熱と診断した.入院時における心電図の軸およびQRS波の幅は正常であったが,P波が120/分,QRS波が75/分の完全房室ブロックを呈し,その後Wenckebach型,ついでMobitz II型第2度房室ブロックとなり,翌日には第1度房室ブロックに移行,入院第19日に正常伝導に回復した.
リウマチ熱における心電図所見としては診断基準に含まれるPQ時間の延長すなわち第1度房室ブロックが高率にみられるが,本症例のように完全房室ブロックの出現する頻度は極めて少ないとされている.さらに,本症例では完全房室ブロックから正常伝導に回復する過程でWenckebach型およびMobltz II型の2種類の第2度房室ブロックを観察することが出来たので,臨床的に貴重な症例と考え報告する.

著者関連情報
© 公益財団法人 日本心臓財団
前の記事 次の記事
feedback
Top