心臓
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症例 感染性心内膜炎に続発し遠隔期に消失した脳動脈瘤の1例
露口 直彦桂川 正幸大谷 秀夫周防 正行
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1987 年 19 巻 12 号 p. 1430-1434

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抄録
症例は21歳の女性で,主訴は発熱と頭痛,現病歴は感冒様症状の後で約38度の発熱が続き,四肢末梢に痛みを伴う小結節が出現し,頭痛も続くため入院した.血液培養では緑連菌が検出された.心音図では心尖部に汎収縮期雑音とクリックが認められ;心断層図では僧帽弁後尖の左房への逸脱と同部位へのvegetationの付着が認められた.頭部CTで左後頭葉内側に径1cmの円形のhigh density massを認め,脳血管造影にて左後大脳動脈の末梢に動脈瘤を認めた.抗生物質治療を続け頭部CTで経過を追ったところ,約2週間後より病変の縮小傾向が見られ,約11カ月後にはまったく病変は認められなくなった.本例は抗生物質治療により細菌性脳動脈瘤の消失したまれな1例と思われる.以上のように,感染性心内膜炎を治療するにあたり合併症の1つとして細菌性脳動脈瘤も考慮する必要があり,その治療方針の決定に脳血管造影あるいはCTスキャンによる経過観察が有用であると考えられた.
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